年末年始営業のご案内
12月31日(火):18:00終了
2025年1月1日(水):全館休業
※各店舗の年末年始の営業についてはフロアガイドよりご覧下さい。

  • 2017.08.17
  • チンクエテッレという名の楽園
モンテロッソ、ヴェルナッツァ、コルニリア、マナローラ、リオ・マッジョーレはいずれも海辺にある5つの村で、その総称が、「5つの土地」を意味する「チンクエテッレ」です。何百年も前から、これらの村は自然そのものをあるべき姿としつつ、人々のニーズとうまく折り合ってきました。最初に農業を目的として作られた段々畑は、この土地をユニークな魅力ある場所にしています。

チンクエテッレはリグーリア州にあり、東リグーリア海岸の端の方まで、より正確に言えば、プンタメスコとモネステローリの間、全長30キロほどになる沿岸地域です。

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漁師の村、チンクエテッレ


これらの村に来る交通手段として一番良いのは、ジェノヴァとローマの間を走る列車に乗ることです。
チンクエテッレには、ラ・スぺツィアやレヴァント、レリーチ、ポルトヴェーネレなど周辺の町からフェリーに乗って行けます。春の後半、夏、秋(4月から11月頃)までの間は、「詩人たちの入江(Gulf of the poet)」を運行するフェリー便を使って村から村へ移動できますし、例えばトスカーナ州などの遠方から、チンクエテッレまで来ることも可能です。

19世紀末、この土地の山の斜面に1400ヘクタールものブドウ畑ができました。その後は、段々畑と石壁が廃れるにつれて、栽培用地は急激に減少したのです。ブドウ畑が占める面積は、今やわずか100ヘクタールのみとなりました。

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チンクエテッレ


とは言え、段々畑と石壁、ブドウ畑は今もなおチンクエテッレを代表する風物です。これらの景観が評価の対象となり、1997年、この一帯はユネスコによって世界遺産に登録されたのです。同年、海洋保護地区が設けられ、そのわずか2年後には国立公園にも指定されています。

ユネスコの保護対象となったブドウ畑では、シャッケトラ・ワインの醸造が行われています。デザートとして楽しむのにぴったりのこのスイートワインは、当地を代表する名産品。希少なものなので価格も非常に高いのですが、是非とも味わってほしい逸品です!近年はEUが、自然環境の悪化を食い止め、地域再生を図ることでチンクエテッレの代表的な作物の生産を保護するプロジェクトに出資しています。これは、公園に関するより持続可能アクティビティや、地域産の製品のブランド・マーケティングを推し進めるために誕生したプロジェクトです。このマーケティング、何といってもワインとペスト(バジルを使ったペースト)に対しては、オーガニック製法でなければ認められないというほど徹底しています。さらに重要な農作物といえばレモン。レモンは、毎年夏にリオ・マッジョーレで開催される「レモン王祭り」では堂々の主役を張るほどの柑橘フルーツなのです。

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モンテロッソ


水陸共に生き物の宝庫であるチンクエテッレにはクジラの保護区があり、そこでは数頭のクジラが保護されています。近場の森林はイタチ、モグラ、キツネ、イノシシたちが棲んでいるし、悠々と空を舞うタカの雄姿も見られます。
チンクエテッレの旅のプランを立てるなら、眼下に海を眺めながらのトレッキング(2つの町をつなぐロマンチックな「愛の小道(Path of Love)」経由)、質の良い料理でグルメ体験、そして文化や動植物の多様性と触れ合うのがお勧めです。リグーリア州のチンクエテッレ独自のルーツは中世時代に消滅しました。それ以降、これらの村にはもっぱらゴシック式の教会が立ち並んでいます。

私のお気に入りの村はマナローラです。海を見下ろせる岩の多い崖地で、二つある崖の間の狭い山あいにすっぽりと抱かれるように佇むこの村落は、うんと小さな港町にほぼすべての家が密集しています。マナローラを出発点とする愛の小道散策コースは、リオ・マッジョーレで終点となります。

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マナローラの村


先ほどお話しした名物ワイン、シャッケトラに関する博物館があるのも、ここマナローラです。
モンテロッソ・アル・マーレは、面積と人口の点では5つの土地の中で最も大きな村です。広いビーチがある村もここだけなので、訪れる観光客も多く、町にはたくさんの朝食付きの宿やリゾート施設があります。



特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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