今でも漁師や船乗りの多いリグーリア地方。ここは昔からずっと、多くの遠征や探検に出る人々の出発地なのです。
この街の歴史を知りたいのなら、市内の波止場にあるガラタ海洋博物館は必見のスポットです。
この博物館が入っている、鉄とガラスを使ったビルは、世界的に著名なイタリア人建築家、レンゾ・ピアノの設計によるものです。
4つのフロアには常設展および企画展が見られる23室の広い展示室があり、23番目の部屋には、ジェノヴァの街と港を360度見渡すことができる、ミラドールと呼ばれるパノラマ式のテラスがあります。
博物館の正面(ここも博物館の一部です)には、イタリア最大の潜水艦である「ナザリオ・サウロ」が展示されています。入場客は船内に入り、軍によって使用されていた当時のあれこれを見学することができます。ナザリオ・サウロ潜水艦に乗るというユニークな体験は、家族全員で楽しめるものだと思います。気軽に楽しく学べるようにデザインされた体験コーナーやゲームを使いながら、潜水艦での生活を知ることができるからです。例えば、潜水艦で潜ったり上にのぼったり、潜望鏡を覗いてみたりと、楽しみながら新しい発見が出来るというわけです。
地中海沿岸地域にある海洋博物館としては最大の規模を誇るガラタ博物館は、モダンで美しい外観を持つビルの中にあります。大人も子供も分け隔てなく楽しみながら大事なテーマを学べるように作られた、遊び心満載のインタラクティブな展示は、訪れる人々を飽きさせません。ガラタ博物館が目指すのは、何世紀も前、イタリアが新天地で達成した偉大な発見の魅力を復活させることなのです。
館内の見学コースは、17世紀のジェノヴァ港の風景を描いたクリストフォロ・デ・グラッシの巨大なフレスコ画のある地上1階からスタートします。この絵は、地中海において戦略上重要な位置にあったジェノヴァが、海事産業の中で絶大な存在感を持っていた時代の作品です。
この博物館に来て、復元されたガレー船、貴重な海図、地図帳、地球儀、船の模型、かつての兵器などを眺めているうちに、海の歴史に親しみ、リグーリアの海の男たちの名高い発見を知る旅を体験できるでしょう。
世界中でクリストファー・コロンブスはスペイン人だと勘違いされていますが、この名高き探検家が生まれたのはジェノヴァであり、彼の本名はクリストフォロ・コロンボです。
博物館では、コロンボ(コロンブス)や7つの海を切り開いたリグーリア州ゆかりの船乗りたちの生涯についても知ることができます。
ガラタ博物館のクリストフォロ・コロンボのコーナーにあるたくさんの貴重な資料の中に、署名の入った2通の手書きの書類があります。この偉大な冒険家がジェノヴァ市生まれであることの証明書と、君主制スペインのもとで働いた数年間に授けられた賞や称号の記録である「コード・オブ・プリヴィレッジ(code of privileges)」です。
博物館の2階には、絵画や地図、水位図、地図帳、多数の海上計器などが展示されています。さらに、救助ボートや古いガレー船の船長室を復元した部屋も。
難破船の展示コーナーもあり、そこでは難破船の復元に関する4Dビデオが上映されています。4Dというぐらいですから、音声あり動くシートあり、ミスト噴射ありという内容です!
博物館には移民に関するコーナーも設けられています。この数年間でイタリア沿岸部に流れ着いた多くの移民の問題を考えると、これは今まさにリアルタイムで進行中のテーマです。20世紀初め、イタリア人が移民であったということを再認識させられるコーナーです。
ベル・エポックの名作映画や小説などの写真に見入っていると、不意に連絡船の蒸気の音が聞こえてきて、まるで蒸気船の時代にトリップしているかのような錯覚に陥るでしょう。「タイタニック号」を思わせる、大西洋を渡った船のレプリカを見ながら、1900年代初頭、第一次世界大戦中のイタリア人たちがアルゼンチンやアメリカ大陸に流れ着いた歴史を垣間見ることができます。館内ツアー中でも特にこのセクションでは、見知らぬ土地で少しでも良い暮らしを始めようと、多くの家族が離ればなれに暮らすことになった歴史を目の当たりにして、誰もが強く感情を揺さぶられるはずです。
博物館では、ジェノヴァの海運史をたどる独自の講座も用意されています。これらのクラスは子供も大人も受講可能で、航海の方法から海上生活のノウハウまでを教える内容までその内容は幅広く、それ以外にも漁法やノット(船上でのロープの結び方)、海洋生物学、さらには環境保護などのワークショップも提供しています。