伝統的な料理の味わいに、グルメや健康食への注目度が高まったことがマッチして、一つの外食スタイルとして確立したアグリツーリスモ。そこで提供されるおもてなしは、「0㎞プロダクト(土地の生産物)」を身上とする地域性と切っても切り離せない関係にあります。
自然に恵まれた環境で楽しむホリデーファーム
気温が上がり、田舎の素朴な気分を楽しみながら屋外で食事がしたくなる季節には、家族経営中心のアグリツーリスモにとりわけ人気が集中します。イタリア人は、復活祭と言えば牧歌的な雰囲気を連想することが多いので、ホリデーファームの人気は復活祭の時期にぐんと高まります。
リグーリア地方では、ホリデーファームを守り、さらに盛り上げていくという名目のもとに特別な規定を定め、農業食糧・林業政策省が定めたイタリア全国共通レベルの等級によって、おもてなしを提供するファームの格付けがスタートしました。
いわゆるホテルの格付けと同様に、等級を与えられたファームには、訪れる人々に宿泊施設としてトータルな快適さと各種サービスを提供すると共に、自然、景観、余暇を提供することで、ファームがある地域の環境全体に貢献することが求められます。
格付けは五つの等級に分かれていて、認められた施設には太陽のマークが付けられます。公認を受けたホリデーファーム(宿泊施設と食事を提供する)は、アグリツーリスモ・イタリアのロゴと太陽マークを看板や標識に表示しなければなりません。これは、適正な基準に従って運営されている真のホリデーファームを見分けるために、近年全国レベルで採用された施策なのです。
提供する食事全体の20%以上がホリデーファームで採れた食材となるように義務付けられている
アグリツーリズムとは、農業経営者が切り盛りする宿泊施設付きのファームと、土地耕作や林業、畜産業をつなげていくための取り組みです。その条件は、ホリデーファーム活動の資格証明書を与える各地域によって定められています。
ベッド&ブレックファスト式の宿泊サービスからキャンピング用のオープンスペースまで、ホリデーファームによって提供する内容は異なります。
ホリデーファームは、自分のファームや地域内の他のファームで生産された食材(品質基準の表示があるものが望ましい)を中心とした食事を提供しなければなりません。
これらのファームは、自家生産物の試食会をひんぱんに開催したり、ファームの内外で行うレクレーションやカルチャー、教育、スポーツ、ハイキングなどのイベントによってゲストが地域に触れ合う機会を設けたりして、土地の歴史や伝統の継承に力を注いでいます。
地元に伝わるレシピがメニューの主役をつとめる
税金対策の点から言うと、アグリツーリズムによる収益は農業所得と見做されるため、その事業所は他の宿泊飲食業には適用されない税控除を受けることができます。
アグリツーリズムは、一年を通じて営業することができますが、管轄の自治体に話を通せば、農家の事業主が決めた期間にだけ営業することもできます。必要な場合は、行政に断りを入れずに宿泊客の受け入れを短期間停止することも可能です。
アグリツーリズムで営業を行う人は、毎年10月に地域が定める手順に従って、翌年の営業で適用を希望する最大料金(ハイシーズン、オフシーズンそれぞれに対するもの)を明記した申告書を提出することになっています。