• 2019.03.27
  • シトラス祭り
ここリグーリアで州は、シトラス系フルーツ、つまり柑橘類いっぱいのお祭りが終わったばかり。香り高いレモンやオレンジやタンジェリンと共に、リグーリア地方自慢のおいしい柑橘類、キノットとペルナンブッコも晴れ舞台に登場し、にぎやかな週末となりました。
2月最後の週末に開催されたこのシトラス祭りは、柑橘系の果物を主役に据えた、公営マーケットと地域の生産者による2日間のイベントです。

各種展示会や試食会、子供から大人までを対象としたワークショップや学習ゲームに加え、巡業公演にサーカス、火食い人間や大道芸人を引き連れた「シトラス・ナイトパレード」など、イベントの出し物も盛りだくさん。欧州連合(EU)が出資するこのイベントはイタリアとフランスが共同で行うクロスボーダープロジェクトの一環で、イタリア全土の柑橘生産者が参加しています。


ずらりと並んだ柑橘類の関連商品

地元の農作業や、キノットやペルナンブッコ・オレンジにまつわるストーリーを軸にした地域振興のさまざまな取組みを盛り上げ、支えるための資金調達を目的として開催された自転車レースは、大人も子供も参加可能で順位を競わないスタイル。参加者全員には果物のジュースが振舞われていました。 見た目は小ぶりで黄色く、苦みのある果肉を持つキノットは、リグーリア地方特有の柑橘類。シロップ漬けのほか、清涼飲料やジャム、香料として使います。
ペルナンブッコはオレンジの在来種で、葉の多さ、厚手で濃いオレンジ色の表皮、甘味のたいへん強い果肉が特徴です。


シロップ漬けのキノットを使ったお酒

対象となる全地域共通の高品質な製品の物価安定をはかって農業や農業食品、グリーンツーリズムといった分野での中小企業の競争力を強化することも、このイベントの目的のひとつ。
柑橘系のフルーツはこのイベント中、摩訶不思議なシトラスの国からやってきて独自に設定されたストーリーを披露するという架空のキャラクターに変身します。
また、小学生のための柑橘類の常設果樹園「リビングラボ」も、このイベントに合わせてオープン。ゆくゆくは四つの対象地域のさまざまな柑橘類が一カ所に集結するという特別な庭園が、上記の計画のおかげで、街の新しい施設として誕生したのです。
この柑橘フルーツづくしの週末の極めつけは、何といっても「シトラスビレッジ」の登場でした。旧市街の立地はそのままに、40以上のショップやバーやレストランが、イベントのテーマに沿ったウィンドウや商品、食前酒、特別メニューを競い合ったのです。



ペルナンブッコ・オレンジ

持続可能なツーリズムの拡大につなげていくため、対象となるすべての地域を包括する形で特産品のテコ入れを行うことも、今回のイベントの主眼のひとつでした。
化粧品や薬剤など、柑橘類の加工製品を知るためのアクティビティが市内のあちこちで行われました。持続可能な柑橘農業、生産物や派生商品の差別化・最適化、それらの製品と地元の景観に直結した観光産業の将来性などなど、多様なテーマのワークショップや講座を開催し、サプライチェーン内の垣根を取り払いながらそれぞれの経験やベストプラクティスを共有・強化することもまた、このフェスティバルの目標だったのです。

この事業の運営全体を牽引する立場であったジェノヴァの自治体は、事業者団体、研究機関、大学、栽培業者、配給業者、旅行会社、地方観光機関などに加え、あらゆる団体や地元の出資者に働きかけを行ってきました。
ちなみにこのイベントの「アイディア」は、お隣の国フランスの、さらに言えば国境沿いの街マントンとの共同企画として生まれたもの。マントンは、今年86回目を迎えたレモン祭りで知られる街です。
毎年、見事な展示や山車でにぎわうシトラスガーデンやシトラスパレードをお目当てに、ヨーロッパ中から大勢の人々が押し寄せるマントンのレモン祭り。シトラス祭りはカーニバルと同時期に行われるということもあって、ジェノヴァではこのマントンに続き、来年はカラフルな山車のシトラスパレードを実現させたいと考えています。


フランス、マントンの柑橘系をテーマにした飾り付け

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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