• 2019.11.07
  • アルピーニ部隊を称えて
前回のブログでは、ジェノヴァの姉妹都市であるサヴォーナについてご紹介しましたね。サヴォーナ市が、退役軍人を含む多数のアルピーニ部隊の隊員を迎える一大イベントの準備中であることも、その記事でお伝えしたと思います。
去る10月10日、リグーリア州、ピエモンテ州、ヴァッレ・ダオスタ州、フランスから第一旅団の集いに参加するアルピーニ部隊がサヴォーナに到着しました。サヴォーナ市ではこのイベントのためにマメーリ広場で国旗掲揚の儀式が行われました。マメーリ広場には世界大戦の戦没者を追悼して建てられた記念碑があります。イベント当日の朝、広場では楽団が演奏を披露し、続いてサヴォーナ旅団のアルピーニ統括担当者が、世界大戦におけるアルピーニ部隊の重要な役割を称えるスピーチを行いました。きわめて厳粛な追悼の辞と歌、クワイア(合唱)の声に人々の笑顔が混じり合い、祝賀の気持ちが胸にこみ上げる素晴らしいひとときは、まさにこの行事をホストするサヴォーナが目指してきたものです。少なくとも100以上のショップのウィンドウがこの日のために「おめかし」をして、あらゆる大きさと形のイタリア国旗やアルピーニの記念品、軍靴、エーデルワイスの花(アルプスを象徴する花で、必然的にアルピーニ部隊を連想させる)を飾り付けていました。
また各種モニュメントや橋、円柱、手すりなど、サヴォーナ市の至るところにイタリア国旗が掲げられました。夜のChiabrera劇場で旅団が披露した軍のクワイアは、席に空きがあれば入場無料。午後には市議会が、2018年のthe Alpine of the yearの受賞式を行いました。
また、大酒飲みの集まりとして知られるアルピーニ部隊を迎えるため、市内のバーやカフェも赤ワインやスピリッツ類の在庫を増やしてこの日に備えました。
アルピーニ部隊が一堂に会した港近くの広場で、大きな国旗の掲揚とともに行われた公式式典の開会宣言と、旅団ごとに分かれての市内パレードがこの日のハイライトでした。
旗を掲げて歌いながら行進するパレードは、ファンファーレも勇ましく、地元住民に敬礼と挨拶をしつつ旅団ごとに異なる地区に分かれて5㎞の行程を練り歩きました。
それぞれ旅団独自の制服を着た隊員たちが合唱を披露したり、楽器を演奏したりするパレードでは、兵器を使って音楽を演奏する旅団や、ラバを連れた旅団までいました。
戦時中、非常に貴重な動物だったラバ。アルピーニ部隊も食料や兵器を運ぶのにラバを使っていました。
公式パレードの最後には、出し物と共にパーティが始まり、お店や施設は貸切りで夜10時まで営業します。クワイアの数もいっそう増えて、前述のChiabrera劇場では4つのクワイアが、また市内各所ではさまざまな合唱グループがその場で歌い始めました。中でも最大の合唱団の一つは、ジェノヴァのモンテビアンコ(=モンブラン)クワイアです。1957年創立のこの合唱団は、海に面した山の神秘的な佇まいの記憶を呼び覚ますため、山と高山地帯、海、今も息づく信仰心が融合する世界観を歌で表現しています。深夜に行われた盛大な閉会式では、マメーリ広場で旅回りのファンファーレ楽団と4つのクワイアが一堂に会しました。
そこで演奏されたのが、マメーリの賛歌(イタリア共和国国歌)。サヴォーナの街は夜が更けても眠ることなく、クワイアの歌声にアルピーニの歴史と伝統の1ページの重みを感じ取りながら「ブラック・フェザー」(アルピーニの通称)の世界に浸っていました。人口わずか6万人のこの街に2万人もの人々を出迎えたこの日のイベントは、サヴォーナの地に鮮やかな軌跡を刻んだのです。


ラバと一緒にパレード




特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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