年末年始営業のご案内
12月31日(火):18:00終了
2025年1月1日(水):全館休業
※各店舗の年末年始の営業についてはフロアガイドよりご覧下さい。

  • 2019.12.05
  • バラづくしの名産品はいかが?
スクリーヴィア峡谷に咲く赤や黄金色のバラの花は、ここリグーリアの名産品です。
ジェノヴァの奥のあたりにある、スクリーヴィア川が流れるこの美しい峡谷は、1600年代からの古い伝統を受け継ぐバラ栽培が盛んな地域です。
麗しき我がリグーリア地方のこのあたりにはバラ園がいくつか集中していて、その周辺にはバラのシロップから香水、ジャム、石鹸、さらにはキャンディーまで、バラの花びらを使った特産品を売るショップがたくさん並んでいるのです。
この州には、リグーリア地方産の伝統であるバラ製品の保護を目的に運営しているGarden of the Dahlias(ダリアの庭園)という大農園があります。そのバラ製品のひとつであるスクリーヴィア峡谷産のバラのシロップは、保護すべき伝統ある製品としてスローフード・プレシディアのリストにも登録済み。シロップの加工には、数あるバラの品種の中でケンティフォリアとルゴサが使われます。この2種はとりわけ香りが高く、適量のエッセンシャルオイルを配合することで効果を発揮するとされています。
スクリーヴィア峡谷のバラ栽培とバラのシロップ生産は、Le Rose della Valle le Scrivia Associationによる支援と助成のもとに行われています。
18世紀中頃に建てられた歴史ある建物で、かつては病院であった美しい屋敷の一角にあるGarden of the Dahlias には、バラの茂みの吊し飾りや花盛りのアカシアの樹で彩られた階段状の中庭があって、周辺一帯にはバラのシロップの香りが漂っています。
この庭はその昔、病院の業務の一環として作られたもの。病院の「薬局」は病気の治療のため、バラを中心に多くの植物を育てていました。
地元の人たちの話によると、この峡谷では昔からバラを育てていて、かつては各家庭で自分たち用のシロップやプリザーブ(ジャムや砂糖煮などの保存食)を作るために、わずか数本のバラを植えていたそうです。1990年代末、ジェノヴァの著名なパティシエの働きかけにより、バラのシロップやジャムの組織的な集中生産が始まったのだとか。
バラの開花時期は通常、5月中旬から6月末頃までです。
シロップ作りの基本は一度に少量ずつ、新鮮な花びらを回収したら直ちに加工していきます。口伝えのみで受け継がれた伝統のレシピの文書は存在せず、文字で書き残すことはご法度。材料の種類はごくわずか。水と砂糖とレモン果汁とバラの花びらのみ、いたってシンプルですね。冬場ならシロップをお湯で割ってお茶に。夏は氷を入れた冷水に混ぜていただきます。このシロップはリラックス作用があり、暑い夏には喉の渇きをいやす効果も抜群だと言われています。
バニラアイスクリームにこのシロップを添えたサンデーは絶品だし、ケーキの材料としても活躍しそうですね。

バラのシロップの濃厚な色や香りによって過去の記憶や楽しかった子ども時代の上質な思い出がよみがえるのは、このシロップが子どもをなだめるために特に用いられてきたからです。子ども時代を懐かしんで買ってしまうこともあるぐらい、ジェノヴァっ子にとってバラのシロップは大事な存在なのです。
バラのエッセンシャルオイルには独自の力があります。その鎮静作用はリラクゼーション効果とも深く関わっていて、バラのエッセンスを何滴か胸部に垂らしてマッサージすると、外傷はおろか悲しい気分まで和らぐと言われるほど。
リグーリア地方ではこのほかに、パンに塗っていただくとおいしいバラのジャムや、とっても甘い香りで女性専用のバラの香水なども作られています。


地元で買った手作りのバラのシロップ

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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