リグーリア州で体験できる最も楽しいことの一つがハイキングなのは間違いありません。
私は自然が大好きですが、とりわけ新型コロナウイルスの影響下にあるこの時期には、機会さえあれば人ごみを避けて自然の中を探索しています。地中海の絶景を眺められる海岸沿いのコース、渓谷や山を抜け、あるいは湖を迂回して昔ながらの田舎暮らしの風景が広がる歩道など、リグーリアは出かけるたびに新しい表情を見せてくれます。
海と山の間に挟まれてギザギザと歪な形をした土地のリグーリア州は、歩きながらその魅力を探訪するのがベストです。木々の間を歩いていても、遠くから海の波音が聞こえてくるのを想像してみてください。そんな夢のような瞬間、他ではなかなかありませんよね。
ナポレオンの足跡
リグーリア州でのハイキングは、本当に素敵な思い出になります。偉大な自然遺産を見学したい時も、ハイキングが王道なのは言うまでもありません。巨大な道路網が発達したリグーリア州には、80か所以上の名所旧跡や数百ものハイキングコースがあります。
伝説と歴史が語るところによると、1800年の春、モンテ・ベイグアで起きたフランスとオーストリアの1週間の戦いで、母なる山の神聖さは踏みにじられました。その時、この土地は戦争という名の悲劇の舞台となり、周囲の谷に点在した貧しい家々は失意のどん底に落とされました。200年の時を経て、私たちの脳裏から消え去ってしまった、この時の出来事を目撃した人たちの記憶を、ガイドツアーや地元の小さな資料館などの文化遺産が今にとどめています。この土地の人々の苦難の時代の記念碑として山はそびえ、この世にも稀なる美しい景観のおかげで、ベイグアそのものが記憶を守り続けているのです。
現在、示唆に富んだアプローチからこの地方の歴史を知ってもらおうと細心の注意を払ってルートをなぞったハイキングコース、通称「記憶の道」ができています。
「ナポレオン週間」期間中に行われるいくつかのイベントの一つに、このコースをガイド付きで歩くツアーがあります。これは、伊仏海運越境協力プログラム(Italy-France Maritime Cross-border Cooperation Program)が出資する欧州ボネスプリ計画(European Bonesprit project)が、ナポレオン遺産の振興を目指すリグーリア州、トスカーナ州、サルデーニャ州、コルシカ島による文化的ネットワークの活性化を目的として運営するものです。
サヴォ―ナ県では、ナポレオン時代ゆかりの出来事に紐づけて、ボルミダ渓谷の周辺地域で起きた会戦の一つ、コッセーリア城の戦いを再現しています。
戦闘部隊と共に過ごす軍事訓練キャンプの準備や来客向けのキャンプ訪問も含め、このイベントは通常2日にわたって開催されます。
ボルミダ渓谷から出発して、将軍ナポレオン・ボナパルトが率いた第一次イタリア遠征の序盤を繰り広げた場所を通り、リグーリア州とピエモンテ州を隔てるアペニン山脈まで歩くコースもあります。
ここではピクニックも楽しめるし、「ナポレオンの足跡をたどる」歩きやすいコースから絶景や史跡を堪能するのもお勧めです。
コッセーリア城