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  • 2020.10.20
  • ヴィラ・デュラッツォ・パラヴィチーニ公園訪問記
174年前に作られたヴィラ・デュラッツォ・パラヴィチーニ公園は、2020年の今も美しい宮殿の姿を保ったまま、ジェノヴァ市そしてリグーリア地方の見どころのひとつになっています。
地元の人間である私たちにとっては、週末に大して遠出することなく都会の喧騒を忘れて過ごすために訪れる、そんな場所です。
「公園」とひとことで呼んでしまうのがためらわれるほど、このヴィラ・デュラッツォ・パラヴィチーニには奥深い魅力があります。
現在、この公園にはリグーリア考古学博物館が入っています。博物館の前にある広場からはペグリという集落の家々の屋根の眺めが堪能できます。海を見ているとどこにいるのかわからなくなって、想像力を働かせてみれば、公園の創設者イグナツィオ・パラヴィチーニ候の時代、今ほどこのあたりが混みあっていなかった頃にタイムトリップしたような気分を味わえるでしょう。数年前に行われた復元工事で、公園から宮殿に直通で行けるようになりました。
何かを警告しているかのように唸っている2匹の犬の像が目を引く門を通り過ぎると、鋳鉄製の柵が付いたゴシック式トリビューンのある、19世紀ネオ=ゴシック様式のファサードが見えてきます。
道の両側の並木が美しい「ゴシック通り」と言う名の通りは、ダンテの「神曲」に登場する暗い森のような、自分という存在を疑うダンテの所在なさにも通じる雰囲気を漂わせています。両サイドのオークの樹はまるで教会のゴシック様式の身廊を思わせます。ただし、この木々が実際に暗い影を落とす瞬間が来るまでは(日暮れまで待つ必要あり)、想像力で補う必要がありそうです。
ここで注目すべきは荘厳な凱旋門と植物園。ヨーロッパや北アフリカの地中海沿いの国々から集められた異国産と当地産の植物が見られるこの植物園は、地中海のオアシスです。
植物園をさらに先まで進んでいくと、手つかずの自然の象徴のような古い池に、山頂からの滝水が流れているのが見えてきます。


ヴィラ・デュラッツォ・パラヴィチーニの古池

緩い傾斜のある歩道を進むうちに、木々が徐々にまばらになっていきます。うしろを振り返ればペグリの町やジェノヴァ空港の滑走路が目に入りますが、それより見ていただきたいのが正面に佇むキャプテンズ・キャッスル(キャプテンの城)。ヴィラ・デュラッツォ・パラヴィチーニ公園のシンボルとも言える建物で、個人的にはこれが最も心に残りました。公園は海抜100mの高さで、あたり一帯を見下ろす丘の上にあります。独特の建物の中央には、野生の状態から浄化されてたどり着いた人間の霊的な境地を表す塔が立っています。
外側だけでも十分に魅力的ですが、さらに素晴らしいのはその内部です。丁寧な復元、というか実際には改修工事のおかげで、壁や天井は建立当時の形状と美しさを保っています。上下階ともに元の色を使って塗り直した多色窓が嵌め込まれ、幅の狭い螺旋階段を伝って上階の円い部屋に足を踏み入れると、色彩と反射する光、絵画などにうっとりすること間違いなし。テラスに出れば360度パノラマの眺めが待っています。さらにその上に上がると公園の木々に遮られずにジェノヴァとリグーリアの海岸が望めるのですが、私が訪れた時はその階は立ち入り禁止でした。
城を出てそのままちょっと歩いた先にはパラヴィチーニの遺体が眠るキャプテンズ・モーソリアム(キャプテンの霊廟)があります。その近くの小さな墓地では、主人の領地を守る兵士たちも眠っています。
公園にはお楽しみスポットとして旧式の遊園地もあります。誰もが屈託なく楽しめる遊園地には、天然の鍾乳洞から採った鍾乳石と石筍が自慢の、人工なのに造りものには見えない洞穴(残念ながら一部閉鎖中)もあります。


ヴィラ・デュラッツォ・パラヴィチーニの建物

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  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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