• 2021.03.22
  • リグーリア・ブログ-アマレッティ・ディ・サッセッロ
アマレッティ・ディ・サッセッロ(直訳すると「サッセッロの苦いお菓子」)というのは、リグーリア・アペニン山脈地帯にある村、サッセッロ生まれのアーモンドペーストを使った焼き菓子の名前です。

お砂糖と卵白、スイート種とビター種のアーモンドを使ったこのお菓子の来歴ですが、リグーリア州とピエモンテ州の間にある勾配の多い内陸部のサッセッロという村で、19世紀初頭に誕生したと言われています。サッセッロ村の農家の人たちは、家の近くにアーモンドの樹を植える習慣があったのだとか。
各家庭の年間必要量をはるかに上回るほどの大量のアーモンドが採れるので、地元の人が日持ちのする乾いたペストリー菓子を作ってみた結果、このアマレッティ・ディ・サッセッロが生まれたということらしいです。
別の説によると、中世期またはもっと古い時代にこの村の人たちが使っていたレシピが15世紀以降ヨーロッパ全域に伝搬し、後に現在のアーモンド菓子の形に変化したとも言われています。
実際に調べていくと、材料も食感もアマレッティによく似たフランスのお菓子「マカロン」にたどり着きます。
イタリアにおいてサッセッロは、豊富に生産されるアーモンドをお菓子にするという方法で活用することに初めて成功した町です。イタリアの他の地域で作られるものとはタイプが異なる、サッセッロのアマレッティ。たとえば、同じ名前のリキュールに浸しながら食べるサクサクとした食感が特徴のサローノのアマレッティに比べ、サッセッロのアマレッティはもっとソフトで、硬いビスケット菓子というよりペストリー生地に近いのです。

ハイキングコースやピクニックエリアに加えて、遊泳可能でとっても素敵な川にも近いとあって、この可愛らしく絵画のようなサッセッロの町は、夏のシーズンには大人気のスポットになります。
個人的には、ここを訪れるのに最良の季節は春と秋だと思っています。町の中心部から出発できて、感動モノの自然の中を探索するウォーキングにも最高のシーズンだからです。
サッセッロの村は、旬の季節ともなると多くのレストランのメニューがキノコ一色になることや、大勢の人がここに来てコーヒーを飲み、持ち帰り用のアマレッティを1kgだけ買っていくことでも知られています。
正統派のアマレッティといえば伝統的なアーモンド風味のものですが、この頃はそれ以外にもいろんなフレーバーのアマレッティが買えるようになりました。
サッセッロでアマレッティを扱っている4~5軒のペストリーショップやカフェではレモン、オレンジ、バニラ、コーヒー、チョコレート、ストロベリー、ココナッツなどのフレーバーの全部、あるいは一部が売られています。なんと、チョコレートでコーティングされたニューフェイスのアマレッティも登場していましたよ!
お店で売られているような完璧な出来映え(特にあのカタチ)にはならないでしょうが、アマレッティは家庭でも簡単に作れますし、お菓子用の袋に入れてリボンでもあしらえば、ちょっとした贈り物にもぴったり。数週間は日持ちがするので、いいプレゼントになりますね。

材料:
皮をむいたスイート種のアーモンド 200g
ビター種のアーモンド 50g
グラニュー糖 100g
卵白 1個分
粉糖 適量

作り方:
粗く刻んだスイート種とビター種のアーモンドをミキサーで粉砕し、砂糖を加えて粉状にします。
卵白を固く泡立て、アーモンド粉と優しく混ぜ合わせます。
粘り気のある生地になったら、指先を水で湿らせながら、1個あたり5g相当の生地を丸めてボール状にします。
目の細かいざるなどでふるった粉糖の上で生地を転がし、冷蔵庫で一晩寝かせます。
翌日、150度のオーブンで30分間、きつね色になるまで焼き上げます。
ガラス瓶に移して涼しい場所に保管すれば、数週間は新鮮な風味を保つことができます。



お手製のアマレッティ

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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