年末年始営業のご案内
12月31日(火):18:00終了
2025年1月1日(水):全館休業
※各店舗の年末年始の営業についてはフロアガイドよりご覧下さい。

  • 2021.06.23
  • リグーリア ブログ – 犬と猫のシェルター事情
動物を保護するための法律ができた1991年以降、イタリアでは飼い主がいない動物の安楽死は違法とされています。残念ながらこのような国は、欧州だけでなく世界でも少数派です。
犬用でも猫用でも、イタリアにおける動物保護施設の現状は複雑で、把握しづらいものです。保護法が生まれた1991年にまでさかのぼって、保護施設の歴史を再現することから始める必要があるように思えます。
実際、地域内の野良犬を減らすことを目的として、シェルターというコンセプトが生まれたのが90年代でした。
イタリア、とくにシチリアなどの南の地域では、財源不足のため野良犬問題が今でも大きな悩みのタネとなっているところもあります。これに対して北の地域では、基本的に野良犬はいません。
90年代までは、数少ないシェルターの役割は狂犬病対策に限られていました。徘徊しているところを捕獲された犬をこうした施設に収容し、10日の間に狂犬病の症状が出ないかどうかを観察します。10日後までに飼い主が名乗り出るか里親が見つかるかしなければ、安楽死が待っていたのです。


冬期は猫シェルターには屋内エリアも用意される

現在、保護犬の施設は保健医療施設とシェルターに分かれています。捕獲した野良犬は、最初に保健医療施設が受け入れます。ここの主な目的は、犬同士、あるいは人と犬の間の病気の蔓延を防ぐこと。こちらは公的機関で、地方行政が管轄する獣医療提携サービスによるケアが保障されています。飼い主が現れなかった犬は、このような保健医療施設に最短10日間、最長で2ヶ月間留め置くことが義務付けられています。この2ヶ月というのは、適切な飼い主を見つけるまでに必要な期間としてイタリアで定められたものです。そのため、この期間中は犬たちに去勢手術や避妊手術をすることができません。
保健医療施設での最長滞在期間が過ぎた犬はシェルターに移されます。新しい場所への移動と知らない動物たちの存在は、犬にとっては大変なストレスです。現在運営されているシェルターは私営と公営の両方があり、民間企業や動物保護団体、または両者の共同での運営が可能です。
開業している獣医と契約を結び、適切な栄養とヘルスケアを動物に提供できるよう、自治体がシェルター施設の運営を担当する職員を配置します。医療や犬のしつけ、動物福祉に予算をあて、里親探しのためのネットワークづくりを行っている自治体もありますが、残念なことに、必要最低限の保証が基本的なルールとなっています。
世の中には無慈悲でモラルのない人もいますので、ある個人や団体が保護施設の経営を引き継ぐという場合、悲しいことに、彼らの動機が必ずしも動物の幸福を保証したいという本質的な思いにあるとは限りません。しかし、動物好きのボランティアのネットワークが常に目を光らせ、疑わしい事案があれば報告される場合がほとんどです。

猫のための保健医療施設はありませんが、里親が見つかるまでの間、隔離した野外エリアで多くの猫が暮らせる猫用シェルターがあります。
猫用シェルターは大抵の場合、最大100匹の猫を同時に収容することが可能で、ボランティアのスタッフが猫の食事や掃除をし、簡単な保守点検などの作業は、飲酒や薬物影響下での運転などのペナルティを負った人が社会奉仕として行うのが通例です。
リグーリア地方にある猫のシェルターでボランティアをしている母によると、そこに暮らす猫は大抵の場合、虐待や事故に遭っていたり、迷うか捨てられたかで元の場所から離れた所で見つかったり、妊娠中だったりするそうです。


猫シェルターで猫たちにごはんをあげる我が母

病気や妊娠中の猫に限っては、保護のため、あるいは施設内の他の猫から隔離するために別の囲いの中に入れられます。


伝染病の疑いのある猫は隔離生活

イタリアには猫用コロニーで自由に暮らす猫の保護規定条項もあって、病気やケガをしていなければこの子たちは自由な生活を送れます。
地域の保健局は野良猫が暮らすコロニーを管理し、その子たちが健康に生活できる環境を確保する役目を担っています。
国の法律では「自由猫」、つまり個人に飼われていない猫も保護の対象であり、虐待から守り、自治体によって無料の去勢や避妊の手術(捕獲できれば、ですが)を行うことまで規定することで、「猫コロニー」の猫の頭数を規制しているのです。
さらに、自由猫の保護に関しては地域レベルでも規定条項があります。実際、先ほど述べた国の法律を適用して、身寄りのない猫を抑制する地域独自の法令を発行したり、猫コロニーに関する具体的な規定を定めたりしています。
前述の法律では、猫用コロニーの移動は動物の保護または重大な健康上の理由で不可避な場合しか認められず、またそれを専門の職員の手で実行することが必須となります。
自由猫を保護する法律に基づき、1匹以上の猫を虐待したり、殺したりした場合、刑事責任は免れられず、禁固刑や高額の罰金が科せられることも忘れてはいけません。


犬の保護施設の里親探しの掲示板

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

パトリツィア・ マルゲリータの記事一覧を見る

最新記事

おすすめ記事

リポーター

最新記事

おすすめ記事

PAGE TOP