このため、ヨーロッパを中心に世界中で数多くの製品の価格が高騰しています。
物価が上がるのは分かり切ったことですが、どう転んでも不安な情勢であることに変わりはなく、住民の生活に与える影響は非常に大きいので欧州各国は直ちに手を打つ必要があります。
ニュースによると、イタリアで価格が上がるのは電気やガス料金だけでなく、燃料、パスタやパン、金属などの多くの製品にも波及する見込みだということです。
商品価格の高騰は、アルミや銅、ニッケル、鉄などの製造に影響を与えます。それから、私たち市民をずっと不安にさせているのがガスの供給。イタリアはヨーロッパでも、ロシアへのガスの依存率がとても高い国なのです。
イタリアの家庭は、電気代とガス代だけでなく、あらゆるものの値段が上がるインフレも懸念しています。グローバル社会では全てのものがドミノ倒しのようにつながっているからです。
昨年、消費者価格の上昇率は1年間でほぼ4%に達し、2009年の経済危機以来最も高い数字を記録しました。
2022年のインフレ率は4%を大きく上回り、標準家庭の日常的な食料品の買い物だけでも、年間の出費が1,000から1,200ユーロほど増えると予想されています。
消費者調査団体のCodaconsによると、電気やガス、燃料のコストが上がると必然的にあらゆる業種にも価格上昇の波が押し寄せて、結果的に物価上昇率のさらなる悪化は避けられないということです。
これもニュースで知りましたが、このインフレを乗り切るため、イタリアでは大半の家庭が出費を大幅に切り詰めようとしているそうです。多くの人は、製品の量と質を下げることで生活費の高騰に対処するしかなくなるだろう、と予想されています。余裕のない所帯ではなおさらです。
パスタなどの基本の主食も例外ではなくなるとすれば、私たちの不安はいよいよリアルなものになります。
パスタをはじめとする穀物製品は、10%以上も値上がりするとも言われています。ウクライナ産トウモロコシの供給停止の煽りを受けて、畜産業にも深刻な影響が及ぶでしょう。
テレビで農家の人が話していましたが、イタリアでは、家畜飼料の主原料であるトウモロコシのほとんどがウクライナから輸入されているのだそうです。
私たちが直面しているのは、まさに非常事態です。たとえば燃料価格の高騰によって痛手を負うのは、自動車の所有者だけではありません。イタリアではほとんどの製品が道路を走るトラックによって運送されますから、当然ながら小売価格全体にも影響が及びます。
コロナ禍による2年間の非常事態の直後に、イタリア政府は最短でも2022年末まで続くことになる新たな非常事態を宣言し、ガスの減量分は石炭や石油で賄う措置を取ると発表しました。
閣僚会議はウクライナへの軍事援助を行うための新たな法令を承認し、国民が利用できる救援基金を開設しました。避難所もたくさん設置され、これまでに1万人を超えるウクライナ難民(大半は女性と子供)を受け入れています。
EU各国に避難している、あるいはこれから避難してくるウクライナ人は、100万人以上にも上ります。
せめてもの嬉しいニュースと言えば、誰もが大変なこの状況でもイタリアの人々(に限らないけれど)が寄付をしたり、衣服や物資を支援したり、ウクライナ難民のために自宅を開放したりしていることです。
これこそが平和、そして希望の証ですね。
ほとんどの商店や企業が掲げている平和の旗