• 2022.07.15
  • ジェノヴァで見られる映画の「舞台裏」
インフレが急激に進み、異常なほどの物価高騰に頭を抱える今日この頃。今年は恒例の国外旅行をあきらめて、もっとローカルな場所を旅することにしました。
そこで選んだのが、これまで行ったことがなかった地元の名所で、小さいながらも魅力的なファンタシネマ(旧「ジェノヴァ映画博物館」)です。
地元の人たちからは「チネ・チャック」とも呼ばれているこのミュージアム、映画好きの友人たちから小さいところだと聞いていたので、わざわざ行くほどでもないと思っていました。
でも、行ってみるとすっかり魅了され、今はジェノヴァの街でもっと評価されるべき場所だと思っています。



ファンタシネマはジェノヴァのポルト・アンティーコ(旧港)にあります。この施設は、ファンタジー映画専門の常設ミュージアム第一号を作るという志のもとに誕生しました。
以前はジェノヴァ市の中心街にある無名の建物で営業していた旧称「映画博物館」が、埠頭近くの、もとは木綿倉庫だった場所に移転しました。
倉庫の跡地というこの場所のおかげで、前に比べてぐっと魅力が増しました。
ビルの改築と再開発を行い、使われなくなっていた古い木綿倉庫を新たな人気スポットとして蘇らせたのは、世界的に著名なジェノヴァの建築家、レンゾ・ピアノでした。
改築された建物の中には、レストランや小さな博物館、映画館、そしてこのファンタシネマが収容されています。
ファンタシネマは、あらゆるジャンルのファンタジー映画に特化したギャラリーです。SFやホラーはもちろん、それ以外の広い範囲の作品群まで網羅しています。



最初の展示室では、エジソンやリュミエール兄弟の発明が登場する以前にあった影絵や暗室、オプティカル・ボックス、立体映像や幻灯機などの表現様式を体験しながら学ぶことができます。
2番目の部屋には、有名なファンタジーやSF、ホラー映画のオリジナルのポスターが大々的に展示され、映画にまつわる記念品やフィギュア、マスク、コレクターズアイテムなどが並んでいます。
オリジナルの衣装やストーリーボードが並んだ3番目の展示室には、現在の撮影機材の誕生秘話が見られる小さな映写室や、10年単位で区分されたフィルム・アーカイブを閲覧できるマルチメディア・デスクも設置されています。
この映画にまつわる情報がいっぱいの部屋では、リュミエール兄弟の有名な短編映画「ラ・シオタ駅への列車の到着」などの映画の創成期に作られた作品が上映されています。
ファンタシネマに行けば、伝説の「スター・ウォーズ」から「ハリー・ポッター」、「ロード・オブ・ザ・リング」まで、映画史に残る偉大で幻想的な英雄譚(サーガ)にオマージュを捧げた展示を見ながら、貴重かつ希少な映画コレクションを巡る旅を体験できるというわけです。
この「見かけは小さくても偉大な」ミュージアムでは、ロバート・ゼメキス監督の「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に登場したタイムマシンの実物や、「エイリアン」と「スター・ウォーズ」の撮影で使用された衣装まで見ることができますよ。
バットマンやスパイダーマン、ジョーカーなど、ヒーロー映画の実物大キャラクターとのツーショット、あるいは本物そっくりに作られたレプリカの小型バットモービルに乗っての記念撮影もキッズに大人気です。
私がとくに楽しかったのは、最初の展示室でした。初期の映画がどんなものだったかを知ることができるし、当時の映画シーンの構成要素となった、色鮮やかなスライドも見られるからです。
今のものとはまったく別物の、様々な昔の映画のポスターを見るのも楽しかったですよ。
そのほか、ファンタジー映画やホラー映画で使われる特殊効果技術を紹介する興味深いコーナーもあり、この種の作品でおなじみのマスクやメイクアップなどが紹介されていました。

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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