年末年始営業のご案内
12月31日(火):18:00終了
2025年1月1日(水):全館休業
※各店舗の年末年始の営業についてはフロアガイドよりご覧下さい。

  • 2022.08.26
  • 別荘と庭園…そして、シカ!
ジェノヴァには、立派な別荘(ヴィッラ)がたくさんあります。
貴族たちは、さも富裕そうに宝石を見せびらかして着飾った姿では城壁のまわりを歩き回ることができませんでした。そんなわけで、18世紀から19世紀を中心に豪奢な別荘が郊外に建てられたのです。そこに行けば貴族の人たちは優雅で贅沢な暮らしを謳歌することができましたから。
ジェノヴァ市の郊外、ヴォルトリにあるヴィッラ・ドゥケッサ・ディ・ガッリエーラも、そんな別荘のひとつ。
この別荘を建て、現在に至るまで何世紀もの間これを所有し続けているブリニョル=サレ家は当時からまごうことなきジェノヴァ屈指の金持ちであり、影響力も絶大な一族です。
別荘には元々この一族の名が付けられていましたが、最後の所有者であるガッリエーラ公爵夫人にちなんで名称が変わりました。
こうした別荘が使用されていた頃には、数々の公爵や王子、教会関係者、さらには王や女王など、重要人物や著名人のゲストが訪れていたのでしょう。
ヴィッラ・ドゥケッサ・ディ・ガッリエーラは現在、一般公開はされていません。主要階は改装中ですが、1階にある部屋はなんと、幼稚園として使われています!
小さな子供たちが過ごす場所として、これ以上素敵なロケーションがあるでしょうか。
別荘の背後にある大きな公園には自由に立ち入ることができ、ジェノヴァっ子や観光客に人気のあるスポットです。
18世紀に作られた、この地域で個人が所有する最古の劇場もあります。(そうです、庭園と公園はだれでも無料で入場可能とは言え、正式には今でも一族の後継者の私有地なのです。)
劇場はステージと客席、そしてステージの反対側の中2階にあったと考えらるオーケストラ専用のエリアに分かれています。
ここで開催されるイベントは、数は多くはないものの素晴らしい内容のものばかり。
別荘の公園では芝居や音楽ライブが開かれていて、今年の夏はシェイクスピアに関連したイベントが開催されることになっています。

別荘の正面にはきちんと整えられた壮大なイタリア式の庭園があり、花壇が調和の取れた幾何学的なモチーフを描いています。
庭園には大理石でできた花器や彫像、あらゆる種類の植物、噴水、毎年5月に満開を迎えるバラ園まで揃っています。
この庭園が開園するのはひと月にわずか数日、しかも午後の時間のみ。でも、幼稚園の入り口の正面にあるテラスに行けば、1年中この庭を上から眺めることができます。


イタリア式庭園

調和の取れたイタリア式庭園とは対照的に、別荘の後ろには野生の木々が豊かに生い茂っています。元々は隣接する国の領土の一部であったこのエリアでは、人の手が加えられた跡はありますが、一見わからないように工夫されています。
公園内を探検するための小道もいくつかあります。あたりの景色を貫くように大小の洞窟が連なり、たくさんの滝も見られます。
この滝の水は、近くの送水路からポンプ式で送られてくる再利用水です。
別荘の背後にあるロマンチックな森の中は自然が支配する世界で、洞窟の間を歩いていると水の流れる音やあたりに広がる自然の静けさに魅了されること間違いありません。この公園のベストシーズンを挙げるなら、なんといっても花々が満開となる晩春の頃か、人でごった返しているビーチから逃れて涼しい木陰が堪能できる夏でしょう。
そのほか、こちらにはベルヴェデーレ城もあります。ここは第2次世界大戦後、木と見まがうほど伸び放題の雑草のせいで、わずかに覗いていた海辺の景色すら見えなくなり、完全に廃墟と化してしまいました。


洞窟と滝

植物の品種を保存するだけでなく訪問者の好奇心を掻き立てるような公園にしようと、園内を歩き回る人たちの興味を刺激する、さまざまな仕掛けを凝らした迷路のような構造に作り変えられました。たくさんある洞窟のひとつからは見事な花盛りのツツジの一群が見えたり、あるルートからは海の眺めが望めたりと、美しい景色を堪能することができます。
フェンスに囲まれた、広大なシカの居住区もあります。シカたちに配慮して草かパンのみとなっていますが、訪れた人が餌をあげることもできますよ。


シカの居住区

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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