年末年始営業のご案内
12月31日(火):18:00終了
2025年1月1日(水):全館休業
※各店舗の年末年始の営業についてはフロアガイドよりご覧下さい。

  • 2023.05.26
  • 魔法の国、トリオーラ
リグーリア州にあるトリオーラは、城壁に囲まれた入り口に足を踏み入れた途端、抗いがたい魅力に気づかされてしまう場所。それは、ここが「魔女の村」と呼ばれているせいかもしれません。
私がここを訪れた時のような曇った空の下ではなおさらに、街には鬱々とした雰囲気が漂っているように感じられます。でも誤解しないでいただきたいのは、トリオーラは素晴らしい場所で、私がこれまで見てきた中でもとくに美しい村のひとつだということです。

トリオーラがなぜ魔女の国と言われているのか、興味があるでしょう? 訪れる前の私もそうでした。実は、この村には皮肉でもジョークでもない悲しい物語があるのですが、今日ではある意味、余り大きく取り扱われてはいないのです。

アルゼンチン渓谷とタナロ川からの急流でできた谷の間、インペリア県の丘に佇むこの村には、悲しい過去が隠されています。
16世紀の終わり頃、数名の地元の女性が魔女として告発され、この国で最も有名な魔女裁判のひとつにかけられました。あまりにも残酷な処刑が行われたため、ここは「魔女の村」と呼ばれるようになったのです。
この悲劇的事件を追悼して、「ストリゴーラ(Strigora)」と呼ばれる魔術に捧げたお祭りが制定され、例年8月15日から数えて最初の日曜日に開催されています。
トリオーラでは、時間が止まったような気持ちになるはずです。
魔法の力を感じると同時に、目の前に広がる美しい景色にも目を奪われるでしょう。
現在はもはや魔女など存在しませんが、魔女たちの象徴的な場所へ通じる道もいくつか作られています。
トリオーラは、イタリアで最も美しい村のひとつであることを意味する「オレンジフラッグ」も受賞しています。



トリオーラ村の風景

トリオーラには、赤色で示される芸術コース、青色の不思議コース、そして黄色の子どもコースの、3つの観光コースが用意されています。
気になるコースを巡るのも簡単。これら3色の円形のステッカーがそれぞれ村じゅうの石畳に貼られているので、進むべき道が分かるようになっているわけです。
私はトリオーラの隅々まで見て回ったのですが、きちんと決まった順路を辿る歩き方はしなかったので、異なるコースの間を行ったり来たりしていました。
トリオーラで見るべきものは多く、どこを見ても、どんな路地にも、特別な一角や魅力のある場所が隠れています。
私がとりわけ楽しかったのが、民俗学と魔術の博物館。村の入り口近くにある古い博物館と、その先にある最近建てられたモダンな博物館とがあります。
私のおすすめは古い方の博物館です。この村の「雰囲気」がよりよく伝わるし、何と言ってもこちらの方がずっと面白いからです。トリオーラの歴史、ここがいつどのようにして「魔女の村」になったのか、そして地元の人々が育んできた長年の習慣や伝統などもたっぷり学べますよ。


民族学と魔術の博物館

トリオーラに来たなら、お城も見逃してはいけません。実際には城は大して残っていませんが、敵の接近が見えやすいように最も高い場所に建てられた塔の跡が、城壁とともに残っています。
こちらはジェノヴァ共和国が国境を守るために石だけで建てたものですが、他でもない地元住民が税金に対するデモで何度も破損させています。
魔女たちが集まったというラ・カボティーナ(La Cabotina)はトリオーラでもとくに印象的な場所なので、絶対に欠かせません。ここからは自然が織りなす壮大なパノラマを眺めることもできます。
そのほかにも、トリオーラの通りではペイントが施された木製の扉がたくさん見られます。各ドアには、装飾を手がけた作家と制作日、その作家の連絡用メールアドレスが書かれたラベルが貼られています。

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

パトリツィア・ マルゲリータの記事一覧を見る

最新記事

おすすめ記事

リポーター

最新記事

おすすめ記事

PAGE TOP