年末年始営業のご案内
12月31日(火):18:00終了
2025年1月1日(水):全館休業
※各店舗の年末年始の営業についてはフロアガイドよりご覧下さい。

  • 2023.08.31
  • 聖ヨハネとアメリゴ・ヴェスプッチ
毎年夏が来ると、ジェノヴァの人たちは聖ヨハネ(サン・ジョヴァンニ)のお祝いをします。
ジェノヴァで最も心を込めて執り行われる祝祭のひとつで、900年以上にわたって守護聖人の洗礼者聖ヨハネと結び付いてきた街の伝統と歴史、その強いつながりを思い起こしながら、街をあげて祝福するのです。歴史的地区の中心街を満たす魅惑的な雰囲気の中、ガイド付きツアーや音楽など、信仰心や民間伝承に満ちたプログラムが用意されています。
ジェノヴァにあるという千の顔を発見するには、またとない機会と言えるでしょう。

聖ヨハネを祝うこのイベントは、通常は教区博物館からスタートします。この博物館では、新しい世代や通りすがりの人たちにこの伝統を理解してもらうために、リグーリア教会管区文化財評議会が展示を行っています。板に描かれた絵や模型、礼拝用品、彫像、羊皮紙といった豊富なコレクションの展示を通して海の上で遭遇した危険と、神の執り成しと感謝の捧げものによって危機を乗り越えたことを伝えています。
その後、祝祭は大聖堂へと続き、礼拝堂では聖歌隊が数曲の歌を披露します。
ジェノヴァ市は旧市街のカルッジ(路地裏の狭い通り)にもステージを設置し、ジェノヴァゆかりの有名人を紹介する、フロアショーと朗読劇を組み合わせたショーが披露されます。このショーは、全てがジェノヴァの方言・ゼネイゼ(Zenéize)で行われるのが特徴です。
洗礼者聖ヨハネの伝統に端を発し、現在でも行われているイベントは、旧市街のゴースト・ツアーです。これは、ジェノヴァの古代の中心地にある秘宝の中から新旧の伝説を発見するという、興味深く神秘的なツアーです。無料で参加できるこのツアーは、渡される地図をたよりに「幽霊たちのパフォーマンス」が行われる広場を探すというもの。参加者はジェノヴァの入り組んだ路地の中で地図を見ながら目的地を探し、歴史や演劇・音楽・ダンスなどの要素が取り入れられた楽しいパフォーマンスに参加するのです。
旧港へと向かう聖者の行列では、聖職者や軍当局など、由緒ある宗教的な団体に付き添われて、聖ヨハネの遺灰をおさめた銀の棺が運ばれていきます。ジェノヴァのフィルハーモニー管弦楽団が旧港まで行列に音楽を添え、大司教が洗礼者の遺灰で海を祝福するのが伝統です。


今年の夏はさらにもうひとつ、この街を沸かせた重要なイベントがありました。
以前のブログ記事でもご紹介したアメリゴ・ヴェスプッチ号が、世界一周の航海に向けてジェノヴァを出港したのです。
式典はイタリア国歌斉唱で始まり、パヴァロッティが歌う「君と旅立とう(Con Te Partirò)」の調べに乗って出航しました。その間、上空ではイタリア空軍のアクロバット飛行隊フレッチェ・トリコローリ(Frecce Tricolori)がエアショーを繰り広げ、28か国31の港に立ち寄りながらイタリアの素晴らしさを世界に知らしめて回るイタリア海軍の宝の出航を祝いました。
アメリゴ・ヴェスプッチ号は、イタリア海軍にとって今や海軍の歴史を象徴する存在。この素晴らしい海軍練習艦は、世界で最も美しい船として誰もが認めています。
船の名前の由来になっているのは、15世紀から16世紀に活躍したイタリアの探検家、アメリゴ・ヴェスプッチです。
この船は1931年に就航してから、世界大戦と修復作業のごくわずかな期間を除き、ほぼ休みなく航海し続けています。
伝説によれば、この船を「世界で最も美しい船」と最初に呼んだのはアメリカ軍で、その認識がそのまま定着したのだとか。
この船を世界におけるイタリアの卓越性のシンボルとして使えることは、イタリア海軍の大きな誇りです。そして、ジェノヴァの街の人々もまた、この素晴らしい船がイタリアに戻るたびに港に受け入れられることを非常に誇らしく思っているのです。

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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