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  • 2023.10.02
  • ブログ リグーリア‐美術館のような墓地
観光で墓地を訪れようなんて、奇妙な、あるいはぞっとするような発想と捉えられかねませんが、ジェノヴァのスタリェーノ記念墓地(Cimitero Monumentale di Staglieno)はその限りではありません。そこはまさに芸術品の宝庫だからです。
ジェノヴァっ子が「スタリェーノ」と呼ぶこの場所は墓碑が立ち並ぶ複合的な墓地で、主に19世紀に作られた礼拝堂やモニュメントが飾られています。
リグーリア地方で最も大きな墓地であるだけでなく、ヨーロッパでも最大級の重要な記念墓地のひとつです。
屋外の美術館として知られるこの場所は、ジェノヴァでひと味違う場所を訪れたい人や、お約束の定番観光コースには入っていない名所に行ってみたい人には外せないスポット。
ニーチェやモーパッサン、ヘミングウェイなど、かつて多くの有名人がここの美しさに感銘を受けてきました。とくにヘミングウェイは、この墓地を「世界の驚異のひとつ」とさえ呼んだほど。


スタリェーノは屋外ミュージアム

スタリェーノは屋外の美術館で、歩道を歩きながら立派な彫刻や並木通りの魅力を堪能することができます。
16年以上もの月日を建設に費やして、この墓地は1851年に正式にオープンしました。
墓地の入口では大きな門が来訪者を出迎え、新古典主義様式に自然主義様式を組み合わせたパンテオン(贖罪の礼拝堂)が堂々とそびえ立っています。
入口のすぐそばには、19世紀に建てられた超有名な「オネト家の墓の天使の像」があります。
おそらく最も多く撮影されたであろうこの像は、この墓地のシンボル的存在です。
自治体によりツアーが定期的に開催されており、地元ガイドの案内で墓地を探索することも可能です。
それ以外にも、専用のアプリをダウンロードすると、ARやダイナミックマップ(高精度な三次元地図)などの機能で没入型の体験が可能なインタラクティブなガイドを利用することができます。
スマホにこのアプリをダウンロードすれば、まさに迷路のような場所を案内してくれるガイド(イタリア語と英語に対応)機能を使って訪れたい墓石や芸術作品の場所を調べたり、有益な情報をゲットしたりすることができます。


悲劇的な死を遂げた少年の像と墓石

以下に挙げるのは、この墓地の中でもとくに美しい彫刻や記念碑です。
すべてを網羅したリストということではなく、ここに含まれていない名作もあります。美と芸術の宝庫のような墓地なので、数え上げるときりがないのです。
では、私が実際に訪れて感銘を受けたものを挙げていきましょう。
- 「ピアッティ夫人の像」は、長い闘病生活の末に他界した、作者の2度目の妻に捧げられた作品です。
ひざまずき、あきらめの表情で両手を合わせている若い女性に、忠誠心の象徴である犬が寄り添っています。
- 「ピーナッツ売り」は、スタリェーノ墓地でも名の知れた彫刻のひとつ。
この墓に眠る老婦人は、生前に人気の高いお祭りでドーナツやピーナッツを売って稼いだお金のほとんどを使って、自分の墓の記念碑を作らせました。
ジェノヴァの上流階級の男女が自分の墓でやっていたように、自分に縁のある品を誇らしげに手にもってポーズをとっています。


ピーナッツ売りの像

以前にこのブログでも紹介したことのある、有名なシンガー・ソングライターのファブリツィオ・デ・アンドレなど、ジェノヴァの著名人たちのお墓もいくつかあります。
ジェノヴァの裏手の丘の上にあり、大理石の尖塔や荘厳なモニュメント、豊かに生い茂った緑などの景観が楽しめるこの墓地へは、町の中心地からバスで簡単に訪れることができます。


デ・アンドレのお墓

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  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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