年末年始営業のご案内
12月31日(火):18:00終了
2025年1月1日(水):全館休業
※各店舗の年末年始の営業についてはフロアガイドよりご覧下さい。

  • 2023.10.31
  • ブログ リグーリア‐カルロフォルテ
毎年、多くのイタリア人がサルデーニャ島へとバカンスに出かけます。
美しい海岸、自然のままのビーチ、澄み切った海、そして起伏に富んだ内陸部の景観が揃ったサルデーニャ島は、イタリア人の間で最も人気が高い夏の観光地のひとつです。
しかし、この島に「リグーリアの真珠」と呼ばれるスポットがあることはあまり知られていません。それはカルロフォルテです。

カルロフォルテは、サルデーニャ島南西に浮かぶ小さな島にある街です。この地域の人たちは大層古いリグーリア方言、タバルキーノ(tabarchino)を話します。
この方言はサルデーニャ自治州にあるサン・ピエトロ島のカルロフォルテとサンタンティオコ島のカラゼッタで使われているジェノヴァ語の一種です。
リグーリア地方でこの方言を知っているのは年配の人だけで、若い世代はもう話すこともなければ理解もできませんが、ここでは伝統が受け継がれており何千もの人たちがタバルキーノを話しているのです。

タバルキーノの歴史は1500年代初め、ペーリ出身の小さなリグーリア人共同体が、チュニスに近いタバルカという小島に移住したのが始まりです。「タバルキーノ」という名前はこの小島に由来しています。彼らは何世紀にもわたって、サンゴ漁業、香辛料や高級織物の商取引などに従事しました。北アフリカのライスとの関係が悪化して、サヴォイア公国王のシャルル・エマニュエル3世に保護を求めた結果、彼らはサルデーニャ島の南に位置する小さな島、サン・ピエトロ島を与えられました。
2004年、リグーリア州との歴史的・言語的・経済的な結びつきにより、カルロフォルテはジェノヴァ首都圏の基礎自治体となりました。文化や美食といった遺産は、今も大切に受け継がれています。

イタリアのほかの地域と同様に、サルデーニャ島にも独自の食文化がありますが、カルロフォルテとその近隣の村々ではリグーリア料理と結びついた伝統が受け継がれています。この地域のレストランでは、ペストやトロフィエ、クルミのソース、フォカッチャ、ファナリータ(ヒヨコ豆で作る平たいパン)を提供しています。
ここで年に一度開催されるクスクス祭りは、ジェノヴァの方言と同じく「カスカ(cascà)」と呼ばれています。
ちょっと待った、クスクスって、アラブの料理なのでは?と思った人もいるでしょう。
確かにそのとおり、クスクスはアラブ料理なのですが、ジェノヴァは常にマグレブ(北西アフリカ諸国)の影響を受けていて、クスクスづくりの伝統もはるか昔から受け入れていたのです。ここの港は以前からアルジェリアやチュニジアの港と関係があったので、ふたつの異なる文化の交流が盛んだったこともあり、必然的に郷土料理にクスクスが取り入れられました。

なだらかな斜面に広がるカルロフォルテの村は、まさしく建築の宝庫とも言える場所です。狭い通りや小道が特徴で、そこに並ぶ民家のパステルカラーと海の強烈な青が混じり合っています。村の歴史的中心部は、イタリアでも最も美しい場所のひとつで、監視塔やブロック塀のある城壁などのいにしえの防衛要塞がこの共同体の長い歴史を物語っています。
ここではカルロフォルテの住民が抱く海への深い愛情をいたるところで感じることができます。サン・ピエトロ島の海岸線は、ギザギザした岩と、息をのむように見事な入り江が続いています。
総じて言えば、カルロフォルテは海に浮かぶ「ジェノヴァの秘境」であるだけでなく、歴史や文化、息をのむような風景など、本物の体験を訪問者に提供してくれる場所なのです。


カルロフォルテ岬

カルロフォルテの人々は今でも熟練した漁師であり、ここではマグロが多く食べられています。
カルロフォルテ産マグロは、角切りにして白ワインやローリエと一緒にフライパンでソテーしたり、オリーブとケッパー、ペコリーノチーズを加えてフレッシュなマグロのソースを作り、リングイネに和えて食べたりします。
島の伝統であり、世界的美食イベントでもあるジロトンノ(Girotonno)でも、主役を務めるのはマグロです。毎年5月末に開催されるこのイベントでは、シェフコンテストや音楽イベントのほか、古代のマグロの解体儀式を思わせる野外ショーなどが楽しめます。このショーは少々残酷ではありますが、このコミュニティならではのものなのです。


カルロフォルティーナ風マグロのスパゲッティ

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

パトリツィア・ マルゲリータの記事一覧を見る

最新記事

おすすめ記事

リポーター

最新記事

おすすめ記事

PAGE TOP