旧港に行けば、古い綿花倉庫に出会えます。リノベーションを経て、今では多くのイベントや企画展がここで開かれています。
現在開催されているのは「イリュージョン展」。ジェノヴァでは4月に開幕した展覧会ですが、私はようやく1週間ちょっと前に行くことにしました。
イリュージョン展は、見えているものが実際には存在しないという「目の錯覚」をテーマにした楽しい展覧会です。
イタリア全土を巡回してジェノヴァにもやって来たということで、どんなものかと行ってみたわけです。
インタラクティブな展示が楽しめるイリュージョン展
イリュージョン展では視覚や知覚の錯覚を使って五感や心を試すインタラクティブな展示が用意されています。70を超えるイリュージョン体験によって、物理学やオプティカル・アート、心理学、そして芸術の旅が体験できるプログラムです。
素晴らしいのは、訪れた人が積極的に体験に参加できること。目で見るだけでなく触ったり、セットに入ったり、実験したり、写真を撮影したり…すべてのことを、直接体験することが可能なのです。
例えば、見方によって変化する絵やあらゆる方法でデフォルメされて見える鏡のゲーム、体が小さくなったり大きくなったりする逆さま部屋もあります。子どもたちはもちろんですが、我々のような大人も楽しく驚かされてしまう、文字どおり独創的な展覧会と言えます。
展覧会は環境持続性にも配慮していて、この旅の途中、化石燃料から排出される二酸化炭素を1日あたり5,000トンも減らすべく、毎日5㎞歩く方法についてもアドバイスされますよ。
見学に要する時間はおおよそ1時間30分。大人も子どもも、あらゆる年齢層が楽しめる内容です。
バーチャル・リアリティに特化した特設展示スペースもあります。
こちらは、来訪者の五感と心を混乱させ、誰もが自分の知覚を疑ってしまうようなインタラクティブな展示で、私も大いに楽しみました。
イリュージョンいっぱいの楽しい展示室
最初にお伝えしたように、この展覧会は3万平方メートルを超える旧綿花倉庫で開催されています。最初にこの倉庫が建設されたのは19世紀末で、当時ジェノヴァは遠く離れた土地から物資を輸入するための重要な港のひとつでした。その後、20世紀初頭には、イタリアに輸入される原綿の90%がジェノヴァ港から入って来たため、この建物は綿花用の倉庫として使われるようになりました。第二次世界大戦中に爆撃されて被害を受けましたが、戦後の改修を経て、ジェノヴァに到着したすべての綿花の倉庫として利用されました。現在、「綿花倉庫」はこのエリア一帯を指す名前となっています。
アメリカ大陸発見500周年を記念したセビリア万博が開催された1992年、綿花倉庫はこのエリアの他の建物も手掛けた著名な建築家、レンゾ・ピアノによって全面的に改修され、新しい生命を吹き込まれました。そして、イベントや展覧会の会場としての新たな役割を与えられたのです。
ジェノヴァ水族館や旧港エリアから歩いて2分という絶好の場所にあり、それに加えて、海やジェノヴァの最も有名なランドマークであるバイオスフィアや灯台が見下ろせるロケーションの良さが魅力です。
マガッツィーニ・デル・コトーネ(旧綿花倉庫)は、ビジネスミーティングや会議、プライベートなイベントにも利用できます。