• 2024.10.29
  • ブログ リグーリア‐イタリアの高速道路のお楽しみ、オートグリル
イタリアの高速道路を走っていると、至るところで「オートグリル」(Autogrill)と呼ばれるサービスエリアを見かけます。
オートグリルは、元々は大部分のサービスエリアチェーンを経営する企業の名前なのですが、今ではレストランやカフェにガソリンスタンド、化粧室を併設した高速道路の休憩所の愛称になっています。
このオートグリル、単なる休憩所ではありません。カフェで出てくる料理やドリンクのクオリティは非常に高く(お値段もすごく高いですが)、前菜やスープにメインディッシュ、サイドディッシュからデザートまで幅広い種類の料理をセルフサービス形式で提供してくれる場所もたくさんあります。温かい料理は注文を受けてから調理されるし、アルコールもノンアルコール飲料も用意されています。
値段が高い主な理由は、イタリアの高速道路は有料なので、利用者は料金所を出て食事をする店を探すのではなく、高速道路の途中で食事をすませることを好むため、競争があまり激しくないからです。
高速道路を利用する際は、入り口の料金所でチケットを受け取り、目的地の出口で料金を支払います。料金は走行距離に応じて決まっており、クレジットカードや銀行口座に紐づけられた車両搭載の有料道路電子料金収受システム、または自動精算機(係員がいる場合も)で現金かカードで支払います。
サービスエリアのサービスは全般的にスピーディー、且つ年中無休で24時間営業しています。レストランは食事時間帯のみの営業ですが、カフェではいつでもサンドウィッチやペストリー、ドリンクを販売しています。
深夜0時から朝の6時まではアルコールは提供も販売もされません。ドライバーは24時間いつでもやって来ますし、時間に関係なく運転しているので、これはあまり意味のないルールですね。
ですが、これが遵守せねばならないイタリアの法律なのです。
ほかにも、オートグリルでは地域の名産品やきれいな袋に入った手作りのパスタ類、オリーブオイルの缶詰、ワインやお酒、キャンディやチョコレートなども売っていて、まさにグルメなコンビニエンスストアのような存在です。
美味しいものがたくさんあるので、お土産を見つけるのにもぴったりの場所と言えるでしょう。
ほとんどの品物はここでしか手に入らないものですし、よそでは買えない特大サイズの商品もあります。
オートグリルは、第2次世界大戦直後のイタリアで、経済復興のシンボルとなることを目指して1947年に創業しました。
1950年代から60年代にかけての経済成長期の初期には、車や大型車両の交通量が日々増え、主要な道路には追い越し車線が登場しました。オートグリルは、車を運転する人やトラックドライバーの休憩場所として、ダイナミックに変化し続けるイタリアを象徴する存在になりました。
1960年代から80年代にかけて、高速道路は国内の都市と都市を結ぶ手段だけでなく、家族が日曜日に遊びに出かける目的地にもなりました。
私も80年代に、例えば他では買えないコイン型チョコレートを買うためだけに、家族で日曜日にオートグリルへと出かけた記憶があります。
ドライバーたちの食事の定番になったサンドウィッチもあります。オートグリルでしか食べられない独創的なパニーニで、イタリアでもとても有名です。
化粧室は大抵の場合、とても清潔(残念ながら、イタリアでは珍しいことです)です。シャワーも備わっているので、トラックドライバーがシフトの合間にここでシャワーを浴びることも出来るようになっています。



特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 年齢申( さる )
  • 性別女性
  • 職業翻訳、通訳、教師

生まれはイタリアですが、5ヶ国語が話せる「多文化人」です。米国、ブラジル、オーストラリア、フランス、イギリスで暮らし、仕事をした経験があります。イタリアと米国の国籍を持っていますが、私自身は世界市民だと思っています。教師や翻訳の仕事をしていない時は、イタリア料理を作ったり、ハイキングをしたり、世界各地を旅行したり…これまで80カ国を旅しましたが、その数は今も増え続けています!

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