• 2017.01.24
  • オレゴンのもうひとつの顔:ペインテッド・ヒルズ
オレゴンはビーバーの州として有名で、米国のこの地域は1年のほぼ10カ月が雨だということもよく知られています。
アメリカ人がイメージするオレゴンといえば、青々とした森、雪に覆われた山頂、豊かな川などで、乾燥した荒野というこの州のもうひとつの顔を思い浮かべる人はあまりいません。
実はオレゴンは西側と東側で、まったく違った2つのパートに分けることができるのです。
境界線はカスケード山脈で、この火山起源の大山脈は海岸と平行に走っています。東側は西側よりずっと広さがありますが、ほとんどの人が住んでいるのは西側に位置するポートランド、ユージーン、セイラム、または太平洋沿岸部で、東側の大部分は手つかずの野生地となっています。
西側は緑豊かで湿気も多いですが、東側は乾燥した荒野が特徴です。
おもしろいことに、東西の違いは地理的特徴に関連するものばかりではありません。政治的に見れば、歴史的にオレゴン州は民主党支持者の多い「青い州」ですが、東部は共和党支持者が大半を占める保守的なエリアですし、人口統計的にもまったく異なっていて、ポートランドや沿岸部ではさまざまな民族を目にしますが、東側の住民は主に「白人系」アメリカ人です。

ペインテッド・ヒルズはオレゴン東部の代表的な観光スポットです。母なる自然が生み出す芸術的な景色が広がっていて、地質学や地理学の研究にも最適です。
芸術性の高い手描きの絵画のように色鮮やかで、自然の産物とは思えない非現実的な景観から、このように名付けられました。
色彩豊かな地層は、この地が熱帯気候の氾濫原だった古代に堆積した火山灰でできていて、長い年月をかけて鉱物と溶け合い、このようなユニークな色合いを醸し出すようになりました。

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ペインテッド・ヒルズを訪れた筆者

色彩の美しいペインテッド・ヒルズは、まるで色のついた巨大な砂のお城のようで、画家や風景写真家にとってはパラダイスです。
日の当たり方で時間帯によっても色は変わって見えますし、季節によっても変わります。晴れわたった日には、琥珀、オレンジ、黄、金の色調が黒やグレーのしま模様と混ざり合い、ひときわきれいです。
緑、金、黒、赤の色彩には、1日中どの時間帯でも見とれてしまいますが、写真撮影にベストな光が当たるのは夕方です。光と湿度が変化して、丘の色のトーンや色相をがらっと変えてくれるのです。
黒は褐炭と石炭、グレーは褐鉄鉱と頁岩、赤とオレンジはこの地が高温多湿だった頃に堆積されたラテライトと焼土で、緑は岩のてっぺんに生えた低木です。
ペインテッド・ヒルズはミッチェルの町から10マイルほど離れたジョン・デイ化石層国定公園内にあり、車でしか行けません。利用できる施設は何もなく、あるのはハイカーのためのトレイルだけで、多くの野生生物が生息しています。
世界有数の豊かな化石発掘地のこの公園にやって来ると、4,400万年前にタイムスリップしたような気分になりますし、オレゴンの最初の定住者たちが築いた古代の塁壁を眺めることもできます。

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ペインテッド・ヒルズは写真家のパラダイス

考古学ファンなら発掘現場をのぞいたり、現在は国定公園となっているエリア内の地層から考古学者たちが発掘した、大量の出土品を見学したりすることもできます。ここで見つかった化石も複数あり、先史時代の動物(三蹄馬、剣歯虎、太古の犬など)の化石とともにビジターセンターに展示されています。
そばには米国屈指の長さを誇るジョン・デイ川が流れています。この川には堤防がなく、じゃまするものがないので、ラフティングを楽しむには最高です。川の景色は驚くほどきれいで、キャンプや魚釣り、バードウォッチングを楽しみたい人がのんびり小旅行するにもうってつけです。
園内にはピクニックエリアはいくつかありますが、手つかずの自然を保護するため、キャンプ施設はありません。キャンプ場はジョン・デイ川の湾曲部にあって、そこには川釣りのおすすめスポットがありますし、絵のように美しいトレイルでマウンテンバイクを楽しむこともできます。

特派員

  • パトリツィア・ マルゲリータ
  • 職業翻訳者、編集者、教師

米国とイタリアに住んでおり、両国に深いルーツを持っています。広く世界を旅する中、日本で4ヶ月を過ごし、桜とたこ焼きに恋をしました。現在、世界中の友人からレシピを集め、料理の本を編集しています。

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