• 2017.01.17
  • ポニーをどこへ停めた?
去年、イギリス北東部のスコットランドの群島、シェトランド諸島を初めて訪れる機会がありました。ガールフレンドの実家が そこにあるのです。シェトランド諸島は、冬の夜は長く、夏の夜は短く、雄大な風景が今も残り、珍しい動物たちと出会える場所です。

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この島々には中石器時代から人が住んでおり、最も古い記述は古代ローマ時代のものに遡ります。歴史記録によると、中世盛期にこの諸島はスカンジナビア、特にノルウェーの勢力下にあり、15世紀にはスコットランド領となりました。その後、スコットランドが1700年にグレートブリテン王国に支配されたため、北ヨーロッパとの交流は減り、経済において漁業が重要な位置を占めるようになり今に至っています。また、1970年代ごろ北海で原油が発見されたことが、景気への刺激となっています。

この地域のライフスタイルには、古代スカンジナビアとスコットランドの伝統が息づいていて、特にフィドルといった伝統的な音楽文化の影響が色濃く残っています。シェトランド諸島は、散文作家や詩人などを多く輩出しており、その多くが作品中でこの地方の方言を書き残したり、いまだに好んで使ったりしています。諸島各所には動植物保護区域があり、広域公園になっている鳥の繁殖地も数多くあります。シェトランド・ポニーやシェトランド・シープドッグはこの土地の固有種です。とにかく、ここの自然は素晴らしいという一言に尽きます。

小さな首都、ラーウィックには諸島の住民の半数が住んでおり、空港があります。道路は単車線ですが、ポニーや羊の数が車より多いぐらいなので十分なのです。
「400年間続く羊の放牧のため木々が枯れてしまった」と言われていますが、本当にラーウィックに降り立つと、地平線上に木々がなく草しか生えていないことがわかります。
フェリーで諸島内の小さな島々へ向かうと、周りは見渡す限りの海や崖、そして私のようなわずかな旅行者を眺めながら岩でのんびりしているアザラシの群れに囲まれて、まるで世界の果てに来たような気分になります。

村に戻って紅茶を飲んだら、やっと現実に戻れた感じがしました
そこがイギリスの一部だということなど、忘れてしまうほどでした!

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前述のとおり、旅行中に出会えたのはほとんど動物ばかりなのですが、その中での私のお気に入りのベスト3はハイランド牛、シェトランド・ポニー、そしてパフィン(ニシツノメドリ)です。

まず初めに、スコットランドの象徴ともなっている動物、ハイランド牛をご紹介しましょう。シェトランド諸島といえば、この動物がよく連想されます。
長い角と赤茶色の長い毛並みが特徴のハイランド牛は、厳しい気候条件に耐えうる天敵がなく、その体重は1000キロ以上に達し、世界最大級の牛とされています。この種はこの地域以外にも生息していますが、私の大好きなスコットランドの貴重な動物種としてご紹介しました。

シェトランド・ポニーは誰からも愛されているかわいらしい動物です。最近行われた人口調査によると、シェトランドには住人よりもポニーの数の方が多いことがわかりました! シェトランド・ポニーは従順な気質で知られていますが、勇敢で時に大胆不敵な性格をもつとも言われています。
私のガールフレンドは子供の頃から乗馬をしているのですが、ポニーや馬の体高は「ハンド」という単位で計るそうです(1ハンドは約10.16cm)。計測には、蹄から、「き甲」という肩甲骨の間の体の一番高い部分までを測ります。
この島のポニーの大きさは約14.2ハンド(114cm)ほどですので、初めて乗馬をする子供たちにも適しています。

パフィンはとても可愛らしい鳥で、ペンギンやオオハシに似ていて、丸みを帯びた白黒の体と明るいオレンジ色の曲がったくちばしを持っています。この鳥の名前は、地元の言葉で「小さな修道士」を意味し、島の断崖絶壁に巣を作って住みついています。
魚を捕食する鳥で、人間による狩猟の対象になったことがないため、人を怖がらず、とても人懐こいので、近寄っても飛んで逃げていったりしません。

シェトランド諸島で最も有名な特産品は毛織物です。
島には大きな紡績工場があり、これはイギリスで唯一、羊からセーターやプレイド生地製品までを一貫して製造できる工場です。工場見学が可能で、羊毛を紡ぎ、織り、染色する迅速な作業工程から、「シェトランド・ウール100%」を保証する品質最終検査に至るまでの様子を見学することができます。
私も自分用にセーターを1枚買いましたが、とても暖かくて心地よい着心地です!
自然が大好きで、日常生活から少し離れたいなと思う方には、この遥か遠い諸島への旅を是非お勧めします!

特派員

  • パトリック・ サッコ
  • 職業エリオット・コンサルティング社エンジニア

こんにちは! 私はパトリックと言います。スコットランドのエジンバラ在住で、土木技師をしています。趣味は詩を書くことです。9年ほど前にイタリアからスコットランドへ移住し、この土地に惚れ込んでいます。雨の多い気候を好まない人もいますが、その気候のおかげでここは緑豊かな風景に恵まれています。暇を見つけては、車でエジンバラ郊外へ湖や渓谷を見に出かけています。

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