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  • 2017.08.29
  • スコットランド生まれの動物たち
生物の多様性という点で、スコットランドは英国そしてヨーロッパ内でもトップのレベルにあります。造園施設も豊富なスコットランドには、多くの種の生き物が存続することが将来的にこの地で重要な意味を持つという理念があり、住民や設備などによって生き物の存続が脅かされることのないよう、保護に対する取り組みが積極的に行なわれています。

シェットランド諸島に関する記事を書いた時、私はハイランド牛のことを取り上げました。過酷な気候条件で野に生きるスコットランドの動物は、その種が生まれた土地の気候にさらされながら自然淘汰のプロセスを通過しているので、氷点下の気温に耐える力を持ち、冬の最も寒冷な時期でも屋外でたくましく生きていけるのです。

スコットランドの動物相は非常に多様性に富んでいて、大型や中型の陸生哺乳類がこの地方に生息しているし、数種類の大型の渡り鳥、固有の水生動物層(低水温の場合は特定が難しい)も見られます。

スコットランドの動物相の特異性を完全に理解しようとするならば、人類が身の安全と食料の確保のために異なる数種類の動物を飼っていた新石器時代まで遡らなければなりません。羊の数が人口を上回るようなこの国では、羊はどこにでもいるありふれた種の動物であり、そのへんに羊の姿が見えないという方が珍しい話なのです。

それはさておき、今日は皆さんにスコットランドのペットについてお話します。
最初はいちばん有名な犬種テリアからいきましょう。スコットランド生まれのスカイテリアは、現存するテリア種では最も古い歴史を持つ部類に入ります。
持ち前の大胆さと、小柄な体躯にものを言わせた俊足が見込まれて、スカイテリアはキツネやカワウソ用の狩猟犬という位置づけにあります。
この犬種の誕生は16世紀。スカイ諸島に到着したスペインの探検隊が連れていたマルチーズ犬と地元のテリアが出会い、我々が知っている長毛のテリアが誕生したというわけです。

またスコットランドでは、ボビーという名の犬にまつわる伝説があります。ボビーは絵に描いたような本物の忠犬で、エディンバラの街の真ん中に像があるほどの人気者。毎年このボビー像の元にはボビーの物語に感動した大勢の人々が訪れ、記念写真を撮っていきます。
このボビーはウェストハイランドホワイトテリアです。俗にウェスティとも呼ばれ、世界中でポピュラーなこの犬種は、英国内では3本の指に入るほどの人気を誇ります。動きが敏捷で賢いウェスティが、もともとキツネ狩りのために飼われていたという点は、親戚筋にあたるスカイテリアと共通していますね。

それからスコティッシュテリア、通称スコッティも、やはりスコットランド生まれのテリア種です。ウサギと同じぐらいの小型の動物で優秀なハンターであり、同時に良きペットでもあることから、たいへん愛されている犬種です。
アメリカ合衆国大統領であったフランクリン・デラーノ・ルーズベルトが、カレドニア産のスコッティを可愛がっていたのは有名な話で、ワシントンD.C.にあるルーズベルト像にも、この愛犬がお供しています。ジョージ・ブッシュの愛犬バーニーも、ホワイトハウスで大統領に愛されたスコッティの仲間です。

Patrick Saracco - PS Scottish terrier 2スコティッシュテリア


羊飼いの優秀な助手ことボーダーコリーもスコットランド生まれです。羊たちを一か所に集める役をこなすこの犬種は、支配的でありながら忠実な性格もあいまって、700万頭以上の羊がいる国で羊の群れを統率する仕事を手伝う能力を発達させました。

Patrick Saracco - PS Border Collieボーダーコリー


猫の話題にも触れておきましょう。折れ曲がった両耳が特徴のスコティッシュフォールドも、スコットランド生まれの猫として有名ですね。素直な性格の持ち主で、他のペットや人間ともすぐに仲良くなります。

スコットランドにスコティッシュフォールドが初登場したのが1960年代のことなので、比較的新しい種と言えます。白い猫の耳が変わった形に折れ曲がっているのに気付いたのは、ブリーダーを営んでいた一家でした。後にその猫とブリティッシュショートヘアとの交配を行なった結果、1666年、新種であるスコティッシュフォールドの最初の子猫が誕生したのです。
この猫の特徴は、優性遺伝子によってそれ以降の世代にも受け継がれています。

Patrick Saracco - PS Scottish terrier 2 スコティッシュフォールド




特派員

  • パトリック・ サッコ
  • 職業エリオット・コンサルティング社エンジニア

こんにちは! 私はパトリックと言います。スコットランドのエジンバラ在住で、土木技師をしています。趣味は詩を書くことです。9年ほど前にイタリアからスコットランドへ移住し、この土地に惚れ込んでいます。雨の多い気候を好まない人もいますが、その気候のおかげでここは緑豊かな風景に恵まれています。暇を見つけては、車でエジンバラ郊外へ湖や渓谷を見に出かけています。

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