勇敢なるスコットランド。独特なるスコットランド。
この素晴らしい地方で話される英語は訛りが強い上に独自のスラングもあるため、これはもはや英語じゃないと言いたくなるかもしれません。実際、スコットランドで製作された映画「トレインスポッティング」の上映にあたり、マーク・レントンと仲間たちの会話が北米の観客にも理解できるようわざわざ字幕を付けたというのも、偶然の話ではないのです。
残念ながら現実世界に字幕は付いていないので、皆さんがいつかこの緑の土地スコットランドに来ることになった時に少しでも苦労が少なくて済むよう、私が作ったスコットランド語のリストをここで公開します。
ラッシーとラース(Lassie and lass)
この地方以外でLassieと言えば、世界中の誰もがTVシリーズで有名な犬の名前を連想しますが、スコットランドではもともと「ラッシー」は「女の子」を、「ラース」は「男の子」を意味する言葉です。
アイ(Aye)
「アイ」と発音しますが、別に誰かが痛がっているのではなく、これはYes(はい)の意味です。あまりにも一般的に使われているので、根っからのスコットランドっ子が「イエス」などと口にすれば、端的に言って違和感があります(その場合、彼にはイングランド人の血が流れているものと推測されます)。
ヘン(Hen)
英語を話す人にとって、henは「雌鶏」を指す言葉ですね。スコットランドでは、若い女性に対する親しみを込めた愛称なのです。現にこの地方では、バチェロレッテパーティ(新婦のための独身お別れバーティ)のことを「ヘンパーティ」と呼んだりします。
ロッホ(Loch)
lake(湖)を意味するlochは「ロッホ」と発音します。湖をlakeと言うスコットランド人にお目にかかることなど、たとえ何かの間違いであろうと、万が一にもないと言い切れるぐらいです。どんなときでも、スコットランドにある湖は必ずロッホなのです。
仮にも地元の人に向かって、「レイク・ネス(ネス湖)への行き方を教えてほしい」などと尋ねた日には、相手から奇異な目で見られることを覚悟して下さい。
ケン(Ken)
「ケン」がバービーのボーイフレンドの名前であることは、誰でも知っています。ビデオゲーム「ストリートファイター」にも、リュウの親友の「ケン」が登場しますね。そのことはスコットランド人も知っていますが、英国のこの地方でこの言葉は、to know(知っている)の意味でも使われます。Ya ken?(知ってた?)
フース(Hoos)
Hoosは”Home(家)“を意味します。ここまでの説明で、スコットランド語を話す人たちの特徴に気が付いた人もいるでしょう。言葉の音節は少ないに越したことはなく(英語も大概その傾向にありますが)、これも貧乏性で知られるスコットランド人らしさの表れなのでしょうか!?
ジュース(Juice)
「これなら答えられる!」「正解はジュースでしょ!」という声が聞こえてきそうですね。うーん、残念でした。もちろんそれも正解ですが、ジュースという言葉の概念をスコットランド的に広げていけば、彼らがビール瓶を指さして「ジュース」と呼んでもさほど驚くことはないでしょう。お酒を飲むなら節度をもって楽しみたいですね。
ボニ(Bonnie)
Bonnieとは女性の名前ではなく、nice(素敵な)やcute(可愛い)を意味するスコットランドの古い言葉で、発音は「ボニ」となります。
スコットランドのスラングには、ケルト語が日常言語として使われているのを目や耳にすることも珍しくありません。馴染みの深いものをいくつかご紹介します。
Bruadarach
Bruadarachは、「預言者」や「夢想家」を指します。しかも、スコットランドはBruadarachの宝庫です。
Saorsa
Saorsaとは「自由」という意味。人生で何よりも尊ぶべきものはSaorsaだというのが、スコットランド人の考え方です。
スコットランドの言葉をしっかり習得するには何年もかかるでしょうが、少なくともこれらの言葉や言い回しさえ覚えておけば、宇宙語で話すスコットランド人に囲まれてお手上げなんていう悲劇は、どうにか避けられるのではないかと思う次第です。