• 2018.07.03
  • カナディアンフードを食べてみよう!
カナダでは今、屋台や街角で気軽につまめるスナック的フードの人気がぐんぐん高まっています。この波に乗って急増した移動式屋台(芸術作品と見まがう傑作も見かけます)が国内各地のフードフェスティバルに出現しています。路上やパブのメニューでこれらを見かけると、思わず注文してしまいます。ハンバーガー、プルドポークサンドウィッチ、カップケーキ、タコス、ピッツァ、スシ(カナダは新鮮な魚が豊富)、ピタ、エンパナーダなど、遠く離れた異国のレシピがより取り見取りに揃った様子は圧巻と言えるほど。あらゆる嗜好に応え、あらゆる文化を受け止めながら育まれた多様な食文化は、さまざまなバックグラウンドや歴史を抱えた人種のルツボという形で人々を連帯させる、カナダ社会の写し鏡でもあるのでしょう。まさにグルメの百科事典と呼べそうな趣のカナダですが、郷土料理やカナダならではの定番メニューも健在です。かくいう私もこっちに来て以来、何種類かは実際に食べ、いくつかは調べてみました(食べ尽くすまで待ってられない!)そうして出会ったのが、カナダの中の異なる文化が混じり合って生まれたユニークな食べ物たちです。
最初にカナダの代表的国民食のひとつ、プーティンからご紹介しましょう。ケベック生まれながら全国各地に広まったプーティンは、アメリカの一部でも人気が出始めています。このプーティンの生みの親と言われているのが、フランス系カナダ人のフェルナン・ラシャンスと、彼が経営していたレストランの一人の客。この客は、チップス(この辺ではポテトフライのこと)の上にチーズカードを添えて出すように注文したと伝えられる人物です。その後、料理人のアイディアでチーズに加えてグレービーソースをトッピングしたものが、このメニューの原型として定着しました。同じカナダ人同士でも、プーティンは軽く温めたぐらいが理想的とする向きもあれば、口の中でチーズがとろけ続けるように熱々でなくては!と主張する一派も。ファストフード店でも上品なレストランでも、もちろんカナダ中の移動式屋台でも、プーティンはあらゆるところで食べることができます。


プーティン

カナダ人が大好きな食材であるソーセージ の製法の多様さは驚くほど。ストリートフードすなわち屋台料理としてはシンプルなホットドッグがポピュラーですが、細かく見ていくと、ソーセージだって様々なカテゴリーに分かれるのです。スモーク(燻製)、フランス式(主な材料は豚肉と赤ワイン)やルーネンバーグ式(牛肉と豚肉を混ぜて使う)、なんとラム肉のソーセージなんていうのにまでお目にかかれます。カナダでホットドッグを注文する時は、グリルかボイル、フライから調理法を選べます。 ブラートヴルストやチョリソ、アンドゥイユなどの世界各地の名物ソーセージは、移民の人々がカナダに伝えて広く定着したもの。聞いた話ですが、サーモンやエビを使ったホットドッグもあるし(カナダ人の魚好きを思えば納得?)、もちろん厳格な菜食主義すなわちビーガン向けバージョンのホットドッグも多いそうです。

ノバスコシア風ロブスターロールは、ニューイングランド風ロブスターロール(アメリカの名物料理)のカナダ版です。ノバスコシア州はロブスターの産地として世界中に有名な場所。このロールは、ボイルしたロブスターの身をフィリングにして、マヨネーズやレモン汁、タマネギ、レタスと合わせたソフトタイプのサンドイッチです。

イタリアのフォカッチャのように古風で柔らかいパンがバノックです。スコットランド系の移民から伝わったバノックは、北米とくにカナダの先住民に瞬く間に定着しました。簡単に作れるうえにとても腹持ちがよいので、初期の探検家や毛皮のハンターの食料として重宝されたのでしょう。オーブンかフライパンで焼いたバノックをサイドディッシュとして出すのが最近の主流です。

モントリオールスモークミート。モントリオールの街の面白さは誰もが認めるところ。アメリカのパストラミに似たスパイシーな燻製のコーシャー式スモークミートサンドイッチは、モントリオールの名物グルメの一つです。薄くスライスした肉(コールドカットと呼ばれます)をライ麦パンの間に挟んだら、マスタードをかけて召し上がれ。

ビーバーテイル。そろそろデザートにしましょうか。ビーバーテイルは生地を長く伸ばして揚げた菓子パンで、名前の通り、ビーバーのシッポに似た形をしています。元祖ビーバーテイルは砂糖とシナモンをまぶして食べますが、最近ではバナナ&チョコレート、ピーナッツバター、ジャムその他の様々なトッピングを選べるようになっています。


ビーバーテイル

特派員

  • パトリック・ サッコ
  • 職業エリオット・コンサルティング社エンジニア

こんにちは! 私はパトリックと言います。スコットランドのエジンバラ在住で、土木技師をしています。趣味は詩を書くことです。9年ほど前にイタリアからスコットランドへ移住し、この土地に惚れ込んでいます。雨の多い気候を好まない人もいますが、その気候のおかげでここは緑豊かな風景に恵まれています。暇を見つけては、車でエジンバラ郊外へ湖や渓谷を見に出かけています。

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