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  • 2018.08.22
  • オタワ川‐先住民から現代までの長い歴史を知ろう
急流ラフティングの案内人が「こういう激しい流れに挑戦するのが醍醐味です。さあ、フルスピードで下ってみましょう」と笑顔で言ったのを、私はずっと忘れないと思います。
流れが激しいことで世界的に有名なオタワ川にラフティングしに行くのを、私は待ちきれませんでした。世界各地からホワイトウォーター(急流)のガイドが、この急流を下るために集まってきます。激しい波と格闘する前のひとときを緊張せずにリラックスして過ごしたいなら、オタワ市周辺のラフティング用キャンプやシャレーに滞在するのがおすすめです。芝生の上に並んだアディロンダックチェアから穏やかな表情を見せるオタワ川が一望できて、砂浜もあり、食事代込みのパッケージ料金で宿泊できるので、都心からの逃避行にはもってこいの場所と言えます。
が、私自身の経験談は別の機会に譲るとして、今回のブログではこの素晴らしい川についてお話したいと思います。

オタワ川は、オタワ首都圏の発達と北米の歴史そのものにおいて、実に大きな役割を果たしてきました。
長い間、大陸の先住民商人の交通の要であった5,000㎞もの運河の一部であるオタワ川の河岸では、過去数百年もの間、毛皮商人たちが野営を行っていました。先住民によって築かれたこの経路に、ヨーロッパの探検家や商人が大規模な毛皮貿易船で乗り入れたのが17世紀のこと。
フランスの植民地としてカナダが始まった当初から、名探検家たちはオタワ川を下り、発見した土地を植民地化していったのです。19世紀、ハルの祖となったライトによって、オタワ川の沿岸地帯で材木産業の発展が始まりました。


20世紀、オタワは排水処理施設を近代化するための一大プロジェクトに着手、1980年代にはOttawa Urban Community(オタワ大都市共同体)が自らの排水処理施設を開設しました。長年の大々的な開発の結果、オタワ川は、キャンプや急流ラフティングなどのアウトドア活動の名所として完成されてきたのです。川沿いのハイキングコースもあれば、バードウォッチングや釣りが楽しめるスポットも充実しています。

オタワ川を目の前にすれば、誰でも気持ちよくならずにはいられません。この心地よい環境は、豊かな緑のなせるわざです。人や車でゴタついた浮世の煩わしさなど、あっという間に忘れられる場所です。この快適さは、距離にして500㎞以上もある自転車専用道路によるものが大きいでしょう。カナダの二輪車天国としても知られるオタワ市ですから、ここに来たら自転車で回るのが正解。この街独特の文化や空気についてしばし考えを巡らせたあとは、パーラメント・ヒルのふもと、20㎞以上のコースに自然地区や公園、庭園、歴史的名所などが点在するオタワ・リバー・パスウェイを歩いてみましょう。記念碑を眺めながら、カナダが建国した1867年までの歴史をさかのぼることができます。オタワ川沿いの道路からは、カナダ歴史博物館やカナダ国立戦争博物館(前回のブログ記事で訪れた場所です)の壮麗な姿を眺めることもできます。


何よりも圧巻なのは、川の急流の増水を利用した技術による水門でしょう。ダムの標高が高いおかげで掘削も最小限に抑えられています。人力によって作られたこれらの水門は、パーラメント・ヒルとフェアモント・シャトー・ローリエ・ホテルの間から見学するのがおすすめ。ユネスコ世界遺産にも登録されているオタワ川を、カヌーやカヤック、パドルボートなどでクルージングしてみましょう。オタワの旅を、ひときわ楽しく盛り上げてくれるはずです!
暑い夏にオタワを訪れるなら、運河沿いの木陰をお散歩するのが最高です。逆に、冬のオタワは水も凍るほど冷え込むため、その季節に来ればスケートリンクに様変わりした運河を見ることができますよ。

特派員

  • パトリック・ サッコ
  • 職業エリオット・コンサルティング社エンジニア

こんにちは! 私はパトリックと言います。スコットランドのエジンバラ在住で、土木技師をしています。趣味は詩を書くことです。9年ほど前にイタリアからスコットランドへ移住し、この土地に惚れ込んでいます。雨の多い気候を好まない人もいますが、その気候のおかげでここは緑豊かな風景に恵まれています。暇を見つけては、車でエジンバラ郊外へ湖や渓谷を見に出かけています。

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