• 2019.02.20
  • はじける時、カーニバルの季節!
ここカナダでは、もちろん雪景色の中でクリスマスを祝いますが、それがたいていの人のカナダに対するイメージではないでしょうか。寒くて雪が多く、ほとんど一年中がクリスマスのような・・・でも、そうじゃないんですよ! カナダには四季があります。暑い夏、冷え込む秋、(すごく)寒い冬、そして美しく色鮮やかな春。

2月はケベックではカーニバルの季節で、カーニバルといえばたいていの人はカラフルなブラジルのカーニバルを思い浮かべるでしょうが、ケベックのカーニバルは、実は世界でもっとも重要なウィンターカーニバルのひとつなのです。

ケベックのカーニバルの始まりは1894年、厳しい冬に耐え、外で過ごすイベントで厳寒の月々の終わりを迎えたいと考えた市民がパーティーを開いたのがきっかけでした。それで、市は寒さに震える参加者たちを温めるイベントを企画し、提案しました。プログラムには、日中のイベントとして犬ぞり体験やフォークダンス、ライブミュージック、雪そり、子どもたちのための氷の滑り台、大人向けにはウィスキーのテイスティング、それにホッケーや氷上カヌーレースなどもあります。

ケベックのカーニバルでは、もちろんカラフルな衣装と、ライブミュージックとともに町を巡る華やかに飾られた山車、そして楽しい振り付けで踊るダンサーたちが町の通りを練り歩く姿を楽しめます。中でも有名なのは、ケベック・シティーの歴史的中心地アッパー・タウン(Haute-Ville)でのナイト・パレードです。

最大の魅力は、寒さと雪がどうやって祝祭のメインを飾っているかを堪能できることです。そこがブラジルのカーニバルとは大きく違う点で、地元の人々がここの厳しい気候をいかに楽しもうとしているかがうかがえます。

その意味でも、氷の彫刻展は特筆に値します。もとは近隣のエリアだけを飾っていた氷の彫刻が、今ではアートショーとして、カナダ中のアーティストたちの作品が並ぶようになりました。

とりわけインパクトを放つのは、なんといってもケベックのカーニバルのマスコット、ボノムの氷の宮殿です。

ボノムは赤い帽子と特徴的な帯を腰に巻いたスノーマンです。 恒例行事として、毎年カーニバル開催の夜に、ケベック市長が市の鍵をボノムに手渡します。このカーニバルでのボノムの役割を象徴的に表しているのです。

それ以外にも、ありとあらゆる氷の「建造物」がたくさん展示されます。塔やお城や、小さな子たちが遊べる滑り台などを備えたものもあります。子どもたちは、実際に氷の芸術作品によじ登って、遊具で遊ぶように氷の彫刻で遊ぶことができるのです。

このカーニバルで特別な色は赤です。だから見物客の多くが赤い服を着て、特徴的な「矢の帯」(マスコットが着けているのと同じ)を身につけているのです。この帯の起源はとても古く、凍てついた空気が着衣の中に入り込むのを防ぐために、この帯を腰に巻いていたようです。

このカーニバルのための特別な楽器はとても長いトランペットで、その音はなんと140デシベルに達するのです! この楽器は、主にスペシャル・イベントが行われるときに、その会場へ見物客たちの注目を集めるために使われます。

ウィンタースポーツもこのカーニバルの主役です。勇気ある男たちは水着姿で雪にダイブします。川で行われる有名なカヌーレースに参加する人たちもいます。他に人目を引くのは犬そりレースやスノーモビリングです。友だちといっしょにスノーラフティングが楽しめる仮設コースもあります。

カナダ人は、分厚いジャケットとコート以上に寒さに対抗する技を身につけています。

カナダの冬の風物詩の中には、「カリブー」というワインをベースにしたホットドリンクや、ウサギや鹿などの獣の肉を詰めた「トルティエール」というポテトパイもあります。

マルドワインや、香辛料入りのパンとスープとともに供されるポークペーストを売る屋台もあります。とりわけ玉ねぎとキャベツのスープとの組み合わせは絶品です。こういったほっとする食べ物は、体を温める最高の手段なのです。

山車、衣装、氷の彫刻、スポーツ、娯楽、マルドワインと極上のカナダ料理。まさかカーニバル期間に暖炉の前にいる方がいいなんて言いませんよね?

特派員

  • パトリック・ サッコ
  • 職業エリオット・コンサルティング社エンジニア

こんにちは! 私はパトリックと言います。スコットランドのエジンバラ在住で、土木技師をしています。趣味は詩を書くことです。9年ほど前にイタリアからスコットランドへ移住し、この土地に惚れ込んでいます。雨の多い気候を好まない人もいますが、その気候のおかげでここは緑豊かな風景に恵まれています。暇を見つけては、車でエジンバラ郊外へ湖や渓谷を見に出かけています。

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