• 2019.08.28
  • カナダの医療制度(解説)
カナダの医療制度は隣接するアメリカとは大きく異なります。
公的医療制度を採用していて、カナダ国民全体に同じサービスを提供することを目指しています。
連邦政府は財政支援を管理し、各州政府はサービスの配分を保証しています。
治療に必要な大半の医薬品は有料の場合が多いですが、必要不可欠とされる医療については永住者は無料で受診できます。
その一方、カナダの居住者の大部分は購入した医薬品やその費用の一部に対する払い戻しを受けるため、雇用主を通じて、または個人的に医療保険に加入しています。
永住者がヘルスカードを取得し、適格者とみなされるまでには約3カ月間の待機期間があるため、この期間は民間保険に加入しておく必要があります。
医療受診の適格者となるために必要な書類は、カナダへの入国カード、永住権確認書、入国書類または永住カードです。
カナダでは民間医療機関も運営を認められていますが、連邦制度が設定した治療費を超える料金を請求することはできません。
現在、カナダの医療問題に関する政治議論では、公的医療機関の待ち時間の長さとサービスの質の低下の問題解決を目指しています。
例えば、公的支援による無償サービスの利用者増加の問題に歯止めを掛けるため、公的医療機関と民間医療機関のどちらに行くか自由に選べるようにしています。政治的議論によると、カナダの医療制度の問題点は組織そのものよりも、組織に配分される金額にあるとされています。しかし、連邦支援の支持者は民間の提案を拡張すれば費用増加とサービスの質の低下によって、公的リソースをいっそう弱体化することになると考えています。
カナダは北アメリカに位置する国ですが、その医療制度はヨーロッパ大陸のものを思い起こさせます。実際、カナダの医療制度は1984年のカナダ保健法に基づき、全国民に無償で普遍的な補償範囲の医療を提供していて、財源の70%は公的負担で賄われ、連邦政府と州政府の役割は明確に定義されています。
この国の医療制度は無償で普遍的な補償範囲の医療で構成されています。
カナダは連邦国家なので中央政府と州政府には役割分担があり、前者は医療制度の大部分の資金援助と連邦の原則・基準を設定しています。後者は連邦政府から供給された資金を活用して居住者に医療サービスを保証し、これに各州または準州独自の課税による資金を加え、一般開業医(GPs)と医療専門家を通じて、病院および一次医療の受診支援を義務として保証するメディケア保険制度を実施しています。また、独自の資金調達と連保政府の規定範囲内において、在宅介護、長期施設介護、救急車搬送、人工装具への支援など、さらなる医療サービスも提供しています。
民間医療保険は急を要しない手術や医学上必要とみなされない美容整形サービス、歯科治療などの費用をカバーします。

運用レベルの管理は地域保健局(RHAs)に委託されていて、RHAsは病院、在宅介護、長期介護の運営に取り組んでいます。なお、GPsおよび専門家の報酬と医薬品支援については、やはり州と準州が直接的な責任を負っています。
確かにカナダの医療制度には問題や制約があり、長い待ち時間はその最たるものですが、本質的に低価格で質が高く、一次医療や病院の受診支援を無償で提供し、全ての国民が利用できるようにしています。

特派員

  • パトリック・ サッコ
  • 職業エリオット・コンサルティング社エンジニア

こんにちは! 私はパトリックと言います。スコットランドのエジンバラ在住で、土木技師をしています。趣味は詩を書くことです。9年ほど前にイタリアからスコットランドへ移住し、この土地に惚れ込んでいます。雨の多い気候を好まない人もいますが、その気候のおかげでここは緑豊かな風景に恵まれています。暇を見つけては、車でエジンバラ郊外へ湖や渓谷を見に出かけています。

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