• 2019.12.04
  • カナダ生まれのシルク・ドゥ・ソレイユ
シルク・ドゥ・ソレイユは若いカナダ人の大道芸人のアイデアによって、80年代にモントリオールで誕生しました。他のサーカス団が動物に肉体的・心理的虐待を与えていることは今では広く知られていますが、シルク・ドゥ・ソレイユはトップレベルのショーというだけでなく、エンターテインメントとして動物を使わないサーカスを特徴としています。
綱渡り、空中ブランコ、ものすごく芸術的な趣向を凝らした曲芸など、見どころ満載のサーカスショーは、常に変化を加えて興味深いパフォーマンスを披露し続けています。
新作ショーが絶えず発表され、旧作は消えていきますが、見た人の心の中にはいつまでも残ります。
私も10作を超えるショーを世界各地で鑑賞し、これを実感しました。
シルク・ドゥ・ソレイユは世界中でツアーを行うほか、世界各地から集まったパフォーマーを抱えているためとても国際的です。
ただ不思議なことに、発祥の地であるカナダで開催されるショーはほとんどありません。
アスリートの芸術的な演技の間に流れる音楽は必ず生演奏で、内容の強度や緊張感に合わせてパフォーマンスごとに違った曲を用意する必要があります。サウンドトラックは全てCDに録音されていて、ショーの開催中、または専門店で買うことができます。
シルク・ドゥ・ソレイユにはさまざまな民族やバックグラウンドのアーティストがいますが、その多くはロシアや中国の学校を出ていて、伝統芸に対する豊富な経験と知識を身に付けています。
パフォーマーの中には元オリンピック選手までいるほどです。
ショーは世界中で開催され、複数のレジデントショー(常設公演)と並行して、多くの巡回公演が絶え間なく色々な大陸で行われています。
チケット販売による多額の収益金は経済的支援を必要とする若い世代の支援や、世界各地のサーカス学校の新規プロジェクトへの融資に活用されています。
サーカスの世界とは愉快な娯楽の世界で、アスリートは演技の中で観客を感動と感情の渦に巻きこみ、大人を童心に返らせ、子供にまるで魔法のような瞬間を届けることを目指しています。
でも、エキサイティングなショーを作り出すために、アスリートは1日何時間も訓練していますし、ピエロでさえプロのアーティストが演じていて、人間の限界に挑戦するパフォーマンスが観客の心を惹きつけています。運良くシルク・ドゥ・ソレイユのショーを見ることができた人は、ライオンやトラがいなくてもショーを楽しめる理由にすぐ気付くと思いますし、見応えのあるアスリートの技を眺めれば本当のサーカスがどんなものなのかよく分かるでしょう。
ショーではディテールにこだわった衣装も注目すべきポイントで、細心の注意が払われています。
各ショーによって違ったストーリーが展開されますが、シルク・ドゥ・ソレイユはストーリー予告に力を入れているので、観客は準備万端で鑑賞できるはずです。
どのショーにも、夢と現実、空想と曲芸の間をさまよっているような雰囲気があり、一瞬一瞬に驚かされます。退屈とは無縁のショーで、すごく感動的なうえに常に動きがあります。息をのむようなアクロバットを平然と眺めているなんてできるわけがありません。
舞台美術はいつ見ても豪華で、手描きで制作される場合も多く、時には機械工がダイナミックなシーンを手掛けることもありますが、アーティストは動いているステージや台の上で演技を披露することになるのでいっそう大変です。
この種のサーカスはとてもモダンでエンターテインメント性も高いため、子供向けにとどまらず、本質的にはむしろ子供より大人の方がより深く理解でき、素晴らしさが分かる芸術と言えるでしょう。
観客を異次元の世界へといざなうショーでは、演劇、アスリートスキル、パレード、体験、これら全てがひとつに融合されています。

特派員

  • パトリック・ サッコ
  • 職業エリオット・コンサルティング社エンジニア

こんにちは! 私はパトリックと言います。スコットランドのエジンバラ在住で、土木技師をしています。趣味は詩を書くことです。9年ほど前にイタリアからスコットランドへ移住し、この土地に惚れ込んでいます。雨の多い気候を好まない人もいますが、その気候のおかげでここは緑豊かな風景に恵まれています。暇を見つけては、車でエジンバラ郊外へ湖や渓谷を見に出かけています。

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