「熊に注意」の看板はそこら中で見かけるので、カナダでキャンプをしてテントで一晩を過ごしたり、日中に公園でハイキングをしたりする際には、熊に遭遇したらどうするべきかを知っておくことが必要です。
まず、カナダでは熊はあらゆる場所に出没します。都市部も例外ではありません。
オタワのダウンタウンまでやってくるのはさすがに難しいので、見かけることはあまりありませんが、人里離れた街へは確実にやって来ます。
カナダのキャンプ場のほとんどは、施設やインフラが整っていない、へんぴで自然に囲まれた場所にあり、自然の中でキャンプ体験を思い切り味わえるように意図的に公園や森の中に作られています。
こういった場所では熊に遭遇しやすいのですが、実際は公園内の道路や森の近くといった場所でも見かけることがあります。
熊たちはベリー類が大好きで、ベリーや花の季節(夏季)には、出没する数も増えます。
カナダ政府と国立公園管理局は、動物相の自然な生態と自然環境を保護するために、細心の注意を払っています。そのため、熊たちは大切に扱われ、保護され、愛されていて、人間が動物たちを尊重しながら平和に共存することを教える取り組みも行われています。
公園内では、いくつかのガイドラインに沿って慎重に行動しなければなりません。例えば、ピクニックテーブルの上やテントの中に食べ物を置いたままにしない、といったものです。
食べ物は間違いなく熊を引きつけます。旅行者がキャンピングテーブルの上に食べ物を残したまま散歩に出かけ、帰ってきた時には椅子に熊が座っていた、という写真を見たこともあります。
熊に餌を与えたり、食べ物を置いておくような行為は違法だということを忘れてはいけません。カナダ国立公園管理局によると、人間の食べ物を口にすると野生動物は死んでしまうので、こうした行為は熊たちを確実に死に追いやるようなものだ、ということです。
他の動物とは異なり、熊はシャンプーやボディーソープ、化粧品などの甘い香りにも引き寄せられます。例えばハチミツやお菓子がテントの中に「隠してある」と勘違いして、甘い香りに誘われるのです。
ほとんどの公園では、キャンプ場での滞在中に食料品や香りのする化粧品を入れておくための金属製の専用コンテナが設置されています。当然ですが、こういったコンテナの近くではキャンプをしないことが推奨されています。
国立公園管理局は、こういった製品を車の中に置いたままにしないように呼びかけています。熊はなんとかして車を「開ける」方法を見つけ出し、車に修復不可能なダメージを与えることになりかねないからです。
カナダの森に暮らす最も美しい生き物である熊を公園内で見かけるというのは、ここでしかできない特別な経験です。
通常、熊が人間を襲うことはありませんが、恐怖を感じた場合には攻撃してくることもあります。例えば、幼い子供を連れた母熊を見かけ、熊が危険を感じる距離まで近づいてしまった場合などは襲ってくることもありますが、それ以外の場合は人間よりも熊たちの方が怖がって走って逃げて行きます。
熊が走るスピードは人間よりも速く、時速45キロにも達します。さらには木に登ることもできます。
熊との遭遇を避けるためには、人通りが多くて森の外へと通じている森林道路から常に離れないようにすること、それから大人数で行動することが推奨されています。
たとえ標高が低い場所であっても、夕暮れ時、夜間、早朝の外出は避けた方が良いでしょう。
もしも熊が近づいてきた場合は、落ち着いて歩いて熊から離れ、必要であれば元の場所に戻ることがポイントです。
熊から離れる間もできるだけ熊の動きから目を離さず、熊に背を向けないようにしてください。
カナダでのハイキングには危険がつきものです。熊にご注意を。