実際、私が訪れたシュガーシャックでは、メープルシロップの製造過程を見学できるだけではなく、代表的な名物料理のランチを楽しむこともでき、私はすっかり気に入ってしまいました。確かに観光地化されてはいますが、雰囲気も最高で、なんといっても本物の味を楽しめる場所です。以前の記事からもおわかりいただけるように、私が愛してやまないメープルシロップについて詳しく学ぶことができました。
壁に貼ってあったポスターの説明書きによると、メープルシロップはヨーロッパ人がカナダにやってくるはるか以前からアメリカの先住民たちの間で製造されていたそうです。彼らは、このほんのり甘いメープルの樹液を偶然発見し、抽出した樹液を蒸発させてメープルシュガーを作る方法を習得しました。最初のシュガーシャックが建てられ、フランスからの移民がメープルシロップを本格的に利用するようになったのは18世紀初頭のことでした。現在、メープルシロップはケベック旅行の定番となっていて、この地域、またはカナダのどこかで絶対に味わっておきたい地元の特産品なのです。
メープルシロップの製造には特別な気候条件(夜間にはこごえるほど冷え込み、日中には雪解けの陽気になる)が必要で、1年の中でも短い期間でのみ製造されているそうです。木に差し込んだ管から採取した樹液(メープルウォーター)を煮詰め、水分を蒸発させて糖分を濃縮させます。このときに加熱する温度によって、出来上がる製品が変わってきます。低い温度(とはいっても100℃以上)から順に、メープルシロップ、メープルバター、メープルタフィー、ハード・メープルシュガー、メープルグラニュー糖となります。
伝統的な製法でシロップを作っているシュガーシャックは今でも存在しますが、多くの企業はもっと効率的に、自動化されたシステムを使って大量にシロップを生産する必要があります。私が訪れた歴史ある伝統的なシャックでは、今でも40リットルの樹液から1リットルのメープルシロップを生産しています。
カナダではメープルシロップの分類規制があり、製品の純度によってN1またはN2に分類されます。また、エクストラ・ライト、ライト、ミディアム、アンバー、ダークの5つのカラークラスがあります。
シロップの色は、作られた時期により異なります。
私はライトかミディアムのメープルシロップを選ぶことが多いです。実際のところ、メープルシロップは色がクリアなほど品質が高く、濃くなるほどカラメルのような風味になり、工場で作られたシロップのようにメープルの風味が全て失われてしまいます。
メープルシロップを購入する時は、ケベック州産でラベルに「メープルシロップ」と書いてあり、生産者の名前と住所が明記されているものを選ぶようにしてください。この3つのうちのどれか1つでも欠けると、品質が異なる何種類かのカエデの樹液が混ざった商品、場合によってはカエデの樹液がほんの少し、または全く入っていない商品を購入することにもなりかねません。
残念ながら、カナダ国外ではこうしたケースは数多く見られます。メープルシロップの多くはアメリカで製造されているのですが、こちらは本物のケベック産メープルシロップとは似ても似つかないものです。
メープルシロップは、戸棚のような涼しくて湿度の低い場所で保管しましょう。開封後は、必ず冷蔵庫に入れてください。ちなみに、冷凍庫での保管も可能です。完全に固まることはありませんが、とろみがつくので、解凍して(なるべく自然解凍して)から使ってください。
いろんなものに使えるメープルシロップですが、最もメジャーで伝統的な使い方といえば、間違いなくワッフルやパンケーキ、パンにかける、というものでしょう。他にも、クッキー生地などのお菓子のレシピで砂糖を一部、シロップに置き換えて使うこともできます。
ルバーブ、いちご、ブルーベリー、りんご以外にも、メープルシロップはハムやチキンといったしょっぱい食べ物との相性も抜群です。ヨーグルトやカッテージチーズの上にかけて、新鮮なフルーツやシリアルをトッピングするのもおすすめですよ!