• 2022.01.18
  • イタリア産ワイン―カナダでワイン輸入業を営む友人へのインタビュー

カナダでイタリア産ワインを輸入している友達がいるので、話を聞かせてもらうことにしました。
この友人はイタリアにルーツを持つカナダ人で、イタリアでワインとガストロノミー(美食学)を学び、現在、専門店やイタリアン・レストランに向けてワインを販売しています。
許可を得て会話を録音させてもらいながら、彼にあれこれと質問をしました。今回のブログでは、私の友人、ドミニク・キャシディへのインタビューをお届けします。

パトリック:イタリア産ワインはカナダではどのように受け止められ、どんな層の人たちが購入しているのでしょうか。
ドミニク: 2つのタイプのお客様がいると言えますね。まず、ランゲ地方やトスカーナといった地域で作られた、非常に伝統的なワインを探しているお客様です。これらの魅力的な地方で作られた本物の味を現地に行かずして楽しみたい、という人たちですね。もうひとつは、オーガニック農法の精神に基づき、テロワール(ワインの産地特性)に忠実に製造され、炭酸ガスによる醸造を行っていないワインを求めているお客様です。醸造工程で炭酸ガスを使うと原産地の特徴が失われてしまいますからね。私は両者の中間に位置するワインを取り扱っています。自然派製法を用いると同時に、伝統を大切にし、中でもその土地特有の味わいを損なわないような手法で生産されたワインを輸入しています。

パトリック:カナダでは、あなたが輸入したワインはどこで入手することができますか?
ドミニク:ワイン専門店で販売されていますし、高級イタリアン・レストランでも提供されています。カナダ全土とまではいきませんが、ワインを専門店で購入する文化が深く根付いているトロントやオタワといった大都市での販売が大部分を占めています。現在カナダには、ワインの知識を豊富に身につけたスタッフがいるワイン専門店もありますし、ソムリエが好みの味や食事に合わせてワインをお勧めしてくれる、テイスティング専門のワインバーもあるんですよ。
パトリック:「ワイン専門店」とは、どんなお店なんですか?
ドミニク:いわゆるカナダの一般的な酒屋ではなくて、素晴らしい国内外のワインのコレクションを備え、地域ごとの特色が強く打ち出された自然派ワインを豊富に揃えたワインショップを指します。カナダのほとんどの州ではイタリア産ワインの消費が増加しており、州によって嗜好は異なりますが、いわゆる「特選輸入品」現象を各地で引き起こしています。
中でも、最も大きな増加がみられた地域はオンタリオ州で、特に州都であるトロントで顕著でした。
オンタリオ州には大規模なイタリア人コミュニティーがあり、イタリアン・レストランが数多く存在することも消費増加に一役買っていたのです。
パトリック:成長トレンドの中、特に好まれたワインの種類は何でしょうか?
ドミニク:この興味深いトレンドの中で、スパークリングワインの消費が増加しました。特にプロセッコは、カナダ人の間に絶大な人気を博しています。カナダ人にとって、これまでスパークリングワインは特別な機会にしか飲まないものだったのですが、プロセッコブランドは「スパークリングワインをもっと日常的に楽しむ」という文化と流行を作り出しました。
プロセッコがカナダ市場で広く普及し、かなりの成功を収めたおかげでこのようなトレンドが生まれ、イタリア産スパークリングワイン全般の消費が促進されました。とはいえ、「イタリア産スパークリングワイン」というブランド効果は有名な大手ブランドほど顕著に恩恵を受けるため、低価格帯のイタリア産スパークリングワインは激しい価格競争にさらされるなど厳しい状況におかれています。
パンデミック期間におけるカナダのワイン市場で特徴的にみられたもうひとつのポイントといえば、オーガニックワインや低糖ワインの消費が増えたことですね。これはほぼ全世界のワイン市場に共通する傾向なのですが、これらのワインはカナダでも大きな販路を獲得しました。
この他に、認証マークの付いたオーガニックワインやヴィーガンワインも大きな成功を収めています。顧客の環境問題への関心が高まるにつれ、これらのワインもますます評価されるようになりました。

特派員

  • パトリック・ サッコ
  • 職業エリオット・コンサルティング社エンジニア

こんにちは! 私はパトリックと言います。スコットランドのエジンバラ在住で、土木技師をしています。趣味は詩を書くことです。9年ほど前にイタリアからスコットランドへ移住し、この土地に惚れ込んでいます。雨の多い気候を好まない人もいますが、その気候のおかげでここは緑豊かな風景に恵まれています。暇を見つけては、車でエジンバラ郊外へ湖や渓谷を見に出かけています。

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