• 2023.06.29
  • 乾杯!アメリカの飲酒事情

アメリカでは21歳未満の人の飲酒は法律で禁止されています。それはこの国で暮らしている人でも、もっと早い年齢から飲酒が可能な国からやって来た旅行者でも同じです。
アメリカの成人年齢は18歳、車の運転はそれよりも早い16歳から可能ですが、どんな種類であってもアルコール飲料を購入したり、レストランやバーでお酒の提供を受けたりできるのは21歳からです(実際、ほとんどのバーでは入店時にパスポートや運転免許証の提示が求められます)。
21歳をとっくに過ぎていて、残念ながら実際の年齢よりも若く見えるタイプではない私でさえ身分証の提示を求められた時には驚きました。とはいえ、これは法で定められた規則で、35歳に見えようがもっと若く見えようがアルコールの提供を受けたり購入したりする際には身分証の提示が求められます。
多くのバーは厳格に21歳以上に制限されていて、未成年者は両親や保護者と一緒でも入店することができません。ある時間帯を過ぎると、21歳未満の人が入店できなくなるバーもあります。

それから、たとえプライベートな場所であっても家族以外の未成年者にアルコールを提供した場合は、どんなケースでも法で罰せられます。
封をしていないスピリッツ類の瓶を持ち歩くこと、12本または6本入りのビールのパックを、1本でも取り出された状態で車内に置いたまま運転することは違法行為とされていますし、道路や公園といった公共の場所での飲酒も禁止されています。
飲酒に関する法律は非常に厳格なのですが、週末になると深酒をしてへべれけになっている人(特に若者たち)も多いし、アルコール依存症を患う人も多数存在するので、これらの法律が飲酒問題の抑制に繋がっているとは思えません。

残念なことに、飲酒は大人への通過儀礼のように思われていて、多くの若者、さらには15歳以下の子どもたちまでもがアルコールに手を出しています。未成年者が21歳以上の友人と一緒に酒屋やスーパーを訪れた場合も同様に身分証明書の提示を求められますし、未成年者を同伴している時には酒類を購入することができません。とはいえ、このハードルはいとも簡単に乗り越えられます。21歳以上の仲間をひとりで店に行かせて、全員分の酒を買ってもらえばいいだけですからね。
友人の中には、未成年の若者のグループから「酒屋に行ってスピリッツ類を買ってきてくれないか」と頼まれたことがある人もいます。法で罰せられるだけでなく、もちろん間違った無責任な行為なので断ったとのことです。
アメリカに引っ越してきてから、お酒にまつわるおかしな出来事に何度か遭遇しました。
あるカフェではこんなことがありました。アルコールをほんの少し含む有名なアイリッシュ・クリームの入ったカプチーノを注文したところ、身分証の提示を求められたのです。私の年齢で酔っぱらうためにこのメニューを選ぶことはないのに!と思いました。
個人的に一番面白かったエピソードといえば、ほんの数パーセントのお酒が入ったチョコレートを購入する時まで身分証の提示を求められたこと。とっくに21歳を過ぎているし、酔っぱらうためにとても高価なチョコを買うなんておかしな話ですよね。
ですが、ここが肝心な点なのです。アメリカの若者もそれほど若くない人たちもアルコールを「酔っぱらうためのツール」と考えています。多くの場合、彼らはただ酔っぱらうためにビールや高価なワインに手を出しているのです。
私はアメリカとはまた違った考えの世界で育ちました。イタリアでは、子どもたちの気分を落ち着かせたり、のどの痛みを和らげたりするために、祖父母がスプーン一杯の赤ワインを与えることが珍しくありません。確かに賢い選択ではありませんが、この国ほど非難されません。イタリアの子どもたちは21歳(または、現在のイタリアの飲酒可能年齢18歳)を迎える前に、時折両親に勧められてワインを口にするのですが、特に大きな問題になることもありませんし、アルコールが「抗いがたいタブー」とみなされることもありません。

アメリカでは「責任ある飲酒」を訴えるキャンペーンが数多く行われていますが、残念ながらあまり効果がないようです。

特派員

  • パトリック・ サッコ
  • 職業エリオット・コンサルティング社エンジニア

こんにちは! 私はパトリックと言います。イタリアからスコットランドへ移住し、2022年4月にアメリカのテキサス州オースティンに引っ越してきました。
仕事は土木技師、趣味は詩を書くことです。時間のあるときはドライブをして新しい場所を発見するのが好きです。
アウトドアが大好きで、キャンプやハイキングにもよく行きます。
この新たな土地でたくさんの友達をつくって、みなさんにもこの街のことを知ってもらえればと思います。

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