• 2023.07.11
  • アメリカのチップ事情
チップを支払うことはアメリカでは暗黙のルールです。食事やドリンクを運んでくれるだけでなく、親切かつ笑顔でサービスを提供してくれるスタッフへの感謝の気持ちを表す大切な行為とみなされているのです。
チップは必須ではありませんが慣例化されていて、渡すのが当たり前と考えられています。
チップを渡す相手はレストランのスタッフだけではありません。北米では、ある種のサービス業(ウエイター、タクシー運転手、ポーター、ベルボーイ、駐車係など)で働く人の賃金が低く設定されています。これは、一定数の顧客が満足度に応じて直接チップを渡してくれることを見込んでいるからです。
チップを渡さないことは、すなわち「ひどく劣悪なサービスを受けた」という意思表示になり、経営者に不安を感じさせます。

レストランでは、店側が予めチップを計算し、少なめ・中くらい・多め(いずれも合計金額の20%以下)など、何通りかの金額をレシートに記載していることもよくあります。このような場合には、サービスの満足度に従ってどの金額を支払うかを選びます。
気配りの行き届いた迅速なサービスとおいしい食事で総じて楽しい時間を過ごせたのなら、簡単に決められますよね。
お客様に対する責任は担当スタッフが担い、彼らの収入はチップに大いに支えられているので、たいていの場合とても親切に接客してくれます。
お客様が注文した品を希望した状態でテーブルに届けることが彼らの使命なので、満足のいく料理だったかを必ず確認します。
例えば、「ステーキがレアすぎた(焼きすぎだった)」、「注文したものと違う料理が運ばれてきた」など何か不具合があったことを伝えると、何とかして問題を解決しようとしてくれますし、解決できなかった場合には、その料理を無料にしてくれることも珍しくありません。

観光地で大人数のテーブル(通常6人以上)で食事をすると、伝票(アメリカではcheck、イギリスではbillといいます)に「サービス料を含む」と書いてあることがあります。この記載がない場合は、自分でチップを計算しなくてはなりません。ちなみに、合計金額の18~20%のチップを支払うのが一般的です。
チップを支払わないのは失礼でケチな行為とみなされますし、小銭でチップを置いて行くのも同様です。
お客様からもらったチップを集めて、給仕スタッフやウエイター、受付、テーブルの片づけを担当するバサー、キッチンスタッフなどの従業員全員で公平に分け合う店もありますし、担当した給仕スタッフがお客様から直接現金でチップを受け取る店もあります。
また、金額の何パーセントかをチップとして上乗せしてクレジットカードで会計を済ませるお客様もいます。この場合、レシートに担当者の名前が記載されているならそのスタッフの給与にチップが反映されます。
アメリカのレストランはチェーン店が多く、シフト制でたくさんのスタッフが働いています。
なかでも大規模なレストランでは、たいてい入口にホストまたはホステスと呼ばれるスタッフがいます。お客様を案内するテーブルを決めて席までお連れするほか、電話で予約を受け付けたり、最高のおもてなしでお客様をお迎えしたりするのが彼らの役目です。
ほかにも、アメリカのレストランにはお客様が食事を済ませた後にお皿を下げてテーブルを片づける「バサー」と呼ばれるスタッフもいます。英語が堪能でない人が多く、いわゆるきつい仕事を担当しています。
アメリカには「ダイナー」と呼ばれる店もあります。一般的にレストランはお値段も高めで凝った料理を提供する一方、ダイナーは24時間365日営業していて、メニューも豊富でいろんな料理を少しずつ楽しむことができる場所です。なかには24時間いつでも朝食を注文できるダイナーもありますよ。

チップが慣例となっているのは飲食店だけではありません。ヘアサロンや散髪屋、スパ、タクシー、バー、ホテル、バレットパーキング(ホテルやレストランなどで係員がお客様の車を入出庫するサービス)など多くのアメリカのサービス業でも同様です。どこでも金額の20%のチップが必要というわけではなく、ホテルやバレットサービスでは数ドル、スパや理美容院ではサービスの内容によって5~10ドルを現金で渡すのが一般的です。

特派員

  • パトリック・ サッコ
  • 職業エリオット・コンサルティング社エンジニア

こんにちは! 私はパトリックと言います。イタリアからスコットランドへ移住し、2022年4月にアメリカのテキサス州オースティンに引っ越してきました。
仕事は土木技師、趣味は詩を書くことです。時間のあるときはドライブをして新しい場所を発見するのが好きです。
アウトドアが大好きで、キャンプやハイキングにもよく行きます。
この新たな土地でたくさんの友達をつくって、みなさんにもこの街のことを知ってもらえればと思います。

パトリック・ サッコの記事一覧を見る

最新記事

リポーター

最新記事

PAGE TOP