• 2023.09.22
  • テールゲートパーティーは最高のアメリカ文化
アメリカには色んな国から移ってきた人が暮らしており、特にテキサス州とフロリダ州では顕著です。中南米出身のラテン系の人々が大多数を占めますが、寒い時期になると暖かい土地で冬を過ごすカナダ人を多く見かけるようになります。彼らは「避寒者」を意味する「スノーバード(snowbird)」と呼ばれています。コミュニティーそれぞれに文化があり、独特の風習や食べ物、香りがあるわけですが、温暖な気候と屋外での生活をできる限り楽しもう!という思いは共通です。事実、ここでは365日いつでもバーベキューができるし、誰もがこの幸せを享受しているのです。

どの公園にもバーベキューグリルや椅子、机を備えたピクニックエリアが用意されています。子どもたちのバースデーパーティーでは、最後にハンバーガーやホットドッグを作って食べるのが定番ですが、テキサス人のバーベキューへの愛はもはやプロ級と言っても過言ではありません。あらゆる機会を捉えては、ピックアップトラックの荷台にバーベキューグリルを積み込んで出かけるのがテキサス流。なかでもアメフトの試合でのテールゲートパーティーは最も魅惑的なイベントのひとつです。
では、「テールゲートパーティー」(tailgate party)とは一体どんなものなのでしょうか? それは、スポーツイベントやモーターショー、コンサートなどの開始前か終了後の数時間に車のハッチバックドア(tailgate)の周りで開催する社交イベントのことです。会場に着くのが遅くならないように、または渋滞に巻き込まれないために各チームのサポーターはかなり早く現地入りし、料理や飲み物を作ったり食べたりしながら時間をつぶすというわけです。とはいえ、アスファルトの上に座りこんでサンドウィッチを食べるような悲しい景色を想像してはいけません。実際のテールゲートパーティーはしっかりした準備の基、きちんと運営されるイベントなのです。ほとんどの人が(少なくとも)ピックアップトラックを所有しているので、クーラーボックスやバーベキューグリルを運ぶことなんて朝飯前です。
そのほかにも、テントや折りたたみ椅子(応援するチームの色やロゴが入ったものが多いです)、テーブル、食べ物や飲み物がぎっしり詰まったクーラーボックスなども欠かせません。さらにはビアタップ、製氷機、カクテルブレンダー、それから電気製品を動かす発電機を見かけることも珍しくありません。
私の母国・イタリアではありえないことなのですが、アメリカでは試合が始まるまでは別のチームのサポーターだからといって敵対し合うことはありません。相手チームのサポーターでも、分け隔てなく歓迎してもらえるし、食べ物を振る舞ってもらえます。みんなでビールや一品を持ち寄って、分け合いながら楽しむのがテールゲートパーティーなのです。

テールゲートパーティーを開くことになったら、山ほどの食糧(調理済みのものや現地でグリルする材料)、大量のビールとアメリカ人が大好きなクールエイドやパンチなどのカラフルなドリンクを車のボンネットやトランクに入りきらないほど積み込みます。その他、サッカーまたはアメフトのボール(アメリカで「フットボール」といえばサッカーではなくアメフトを指します)、BGM用のラウドスピーカー、そして容赦なく日光が降り注ぐテキサスでは必須の巨大なビーチパラソルが必需品リストに名を連ねます。
旅の道中で一番のお楽しみといえば、間違いなくパーティーの準備をしている時間でしょう。なぜなら、近くの人同士で交流を楽しめるから。そして、ソーセージの香りが漂う楽しげな雰囲気の中、食べ物の分けあいが始まります。前菜のパレードから始まって、おつまみにホットドッグ、ハンバーガー、ステーキ、軸つきトウモロコシ、お皿一杯のマカロニ・アンド・チーズ、ポテトサラダにコールスロー、ベーコンやスパイスと一緒に煮込んだベイクド・ビーンズ、そしてピクニックデザートの定番ブラウニーやカップケーキ、ブルーベリーマフィンまで、ありとあらゆる食べ物が登場するのです。

それから、このパーティーには超大音量の音楽が欠かせないことも付け加えておきましょう。

下の写真は通常のバーベキューで撮影したもの。残念ながらテールゲートパーティーにはまだ参加したことがありません。

特派員

  • パトリック・ サッコ
  • 職業エリオット・コンサルティング社エンジニア

こんにちは! 私はパトリックと言います。イタリアからスコットランドへ移住し、2022年4月にアメリカのテキサス州オースティンに引っ越してきました。
仕事は土木技師、趣味は詩を書くことです。時間のあるときはドライブをして新しい場所を発見するのが好きです。
アウトドアが大好きで、キャンプやハイキングにもよく行きます。
この新たな土地でたくさんの友達をつくって、みなさんにもこの街のことを知ってもらえればと思います。

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