• 2023.11.13
  • 奇妙だけど美味?「ロードキル」を食料に
交通事故によって路上で命を落とした野生動物を探している人がいる、と初めて耳にした時は気持ち悪くてゾッとする話だと感じましたが、アメリカにはこうした動物の死骸を調理して食べる「ロードキル・クッキング」を実践する人がいます。
まず、道路上で不慮の事故死を遂げた野生動物を見つけたら(交通量が多く、野生動物が数多く暮らすテキサスでは、多くの動物が交通事故で死亡します)、死骸をアスファルト上から拾い上げて自宅に持ち帰り、皮を剥いで内臓を取り除き、調理をするのです。
スーパーで販売されている肉はすでに加工され、無菌状態に包装されているため、屠畜や食肉加工といった大変な作業は忘れられがちですから、このような食糧調達方法は現代人の生活様式からは若干かけ離れているように見えるでしょう。ですが、嫌悪感を乗り越えてよく考えてみると、飼育されたウサギと車にはねられた野ウサギにどんな違いがあるというのでしょう? 高タンパクの食糧であることに違いはないし、保存料や着色料、ステロイドやその他の人工的な食品添加物が使われていないこともお墨付きです。もしも、たまたま鹿の屍を見つけたなら、自分で屠殺することなく狩り(テキサスでは非常に一般的な娯楽です)をしたのと全く同じ獲物を手に入れることができるのです。

とはいえ、野生動物に由来した感染症のリスクがあるので、調理するなら対象を選ぶ際に特に注意を払う必要があるようです。この特殊な食習慣を実践している人たち曰く、野生動物の遺体の「新鮮さ」と「コンディション」の2点が大原則になるということです。
書店には、このサステナブルな肉の見つけ方や調理法を掲載した、ロードキルに関する本が並んでいます。
それによると、ロードキルの肉は狩猟で手に入れた肉と同様、細菌感染を防ぐためにスーパーなどで売られている肉よりもしっかりと火を通す必要があるとのことです。
テキサスでは路上で事故死した野生動物を家に持ち帰ることは法律で禁止されていますが、それでも持ち帰る人がいるようです。
ロードキルを食用にする習慣は決して一般的ではありませんし、都市近隣の人たちには縁遠いのですが、多くの動物が交通事故にあう田舎では広く行われているそうです。
交通事故で命を落とした野生動物を食べる行為はほとんどの場合野放しにされていますし、そのような行為を見つけるのも容易ではありません。
テキサスの人たちは大の肉好きですが、ロードキルを調理して食することを支持する人々の中には、工業的な食肉生産システムを批判する環境保護活動家や真の動物愛好家らも含まれていて、食べられる肉を無駄にしないための生活スタイルの選択肢のひとつと考えられています。
私自身は挑戦してみようとは思いませんが、このトピックについてより深く知りたいと思い、書店でロードキルの料理本を読んでみました。
テキサスを走る道路端には、残念ながら命を落とした鹿やアルマジロ、リス、アナグマ、キツネや小さなウサギを見かけることがあります。
当然、この本には犬や猫といった一般的なペット動物についての記載はありません。大多数の人にとって手に負えませんからね。
ロードキルを食べる行為はタブー視されているのかもしれませんが、ある意味資源を無駄にしない方法のひとつでもあると思うのです。そうでなければ、死んだ野生動物は通りがかったゴミ収集トラックに捨てられてしまうことになるので、彼らに敬意を表する行為と言えるかもしれません。
なぜテキサスでロードキルの食用が禁止されているのかは私にはわかりませんが(おそらく健康被害を防ぐためでしょう)、先祖たちの生活様式や食糧確保の方法を追体験できる手段ではないでしょうか。私は全く反対というわけでもないし、実践したいとも思いませんが、ロードキルを食べてみたいという人にはそうする権利が与えられるべきだと思います。アメリカでは多くの人が貧困レベル以下またはそれに近い生活水準にあるので、ロードキルが必要な人もいるのかもしれない、という点も付け加えておきます。

※繊細なトピックなので、今回のブログに写真は掲載しません(いずれにせよ関連する写真を持ちあわせていません)。
ロードキルについてなるべく柔らかい表現で紹介しましたが、これは実際にアメリカで行われている習慣です。日本ではいかがでしょうか?

特派員

  • パトリック・ サッコ
  • 職業エリオット・コンサルティング社エンジニア

こんにちは! 私はパトリックと言います。イタリアからスコットランドへ移住し、2022年4月にアメリカのテキサス州オースティンに引っ越してきました。
仕事は土木技師、趣味は詩を書くことです。時間のあるときはドライブをして新しい場所を発見するのが好きです。
アウトドアが大好きで、キャンプやハイキングにもよく行きます。
この新たな土地でたくさんの友達をつくって、みなさんにもこの街のことを知ってもらえればと思います。

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