オースティンやヒューストンから最も近い海辺の街で、テキサスっ子たちはフロリダまで行く余裕がない時にはここを訪れます。
メキシコ湾を見下ろすこの街は、都会を離れてビーチでリラックスしたい人や、本物の南部の街の雰囲気を味わいたい人にはぴったりの場所です。ビーチや博物館に加えて、アメリカ合衆国国家歴史登録財に指定されている歴史的建造物や街並みも数多くあるガルベストンは、歴史マニアからビーチを楽しみたいという人まで、誰もが楽しめる場所なのです。
もちろん、ガルベストンアイランド・ヒストリック・プレジャー・ピア(Galveston Island Historic Pleasure Pier)やムーディー・ガーデンズ(Moody Gardens)など、ファミリー向けのスポットもあります。
プレジャー・ピアは、ジェットコースターや観覧車、バンパーカー、コーヒーカップなどのアトラクションが揃った遊園地です。園内にはお土産ショップやレストランのほか、綿あめやホットドッグ、揚げた生地にシロップやクリームをかけて食べるファンネルケーキなど、遊園地には欠かせない高カロリーのスナック類も販売されています。
ピラミッドが目印のムーディー・ガーデンズは、ガルベストンを代表する観光スポットです。1986年にオープンしたこちらの施設は、特に子ども連れの家族を対象に作られた、楽しみながら学べる行楽地です。
園内にある3つのピラミッドでは、それぞれ異なるテーマに沿った展示が楽しめます。ペンギンやアザラシもいる水族館ピラミッド、サルやオウムが暮らす熱帯雨林ピラミッド、そして科学を学べるディスカバリー・ミュージアムです。
ほかにも、乗り物や4Dシネマ、インタラクティブなショーもあるし、クラシックな蒸気汽船も運航しています。
また、街のほど近くには自然を存分に楽しめる広大なガルベストン・アイランド国立公園があります。
この国立公園は、都会の喧騒を逃れて泳いだり、浜辺でくつろいだり、魚釣りを楽しんだりできる小さな自然のオアシスです。メキシコ湾の支湾を見下ろす場所にあるこの公園には膨大な数の鳥が暮らしていて、特に春と秋には多くの渡り鳥が訪れます。そのため、バードウォッチャーから非常に人気があります。
公園内には、草原から入り江の湿地帯まで、動物たちの様々な生息地を横断するトレイルが複数走っています。ハイカーやサイクリスト専用のトレイルもあるし、カヌーやカヤックを楽しみたい人に最適のコースもあります。
また、ガルベストンは全米で3番目に大きなマルディグラ(謝肉祭の最終日に開催される祝祭)が開催される街でもあります。お祭りの期間中、この海沿いの街はカラフルな色ときらめきで溢れます。
島の中にあるガルベストンは、19世紀には綿貿易におけるテキサスの中心的港でした。
現在でも特に観光にとって重要な港で、メキシコやカリブ海の島々に向かう巨大なクルーズ船はここから発着します。
1900年代、街は猛烈なハリケーンにより大きな被害を受けました。後に復興されましたが、貿易の中心を担う港はヒューストン近郊へと移され、再びガルベストンが商業の中心地となることはありませんでした。
ハリケーンのあと、市は高潮の被害から街を守るために長い歩道を備えた防波堤を建設することを決めました。この歩道は世界最長の海沿いの遊歩道になっていて、現在ではその大部分に海をテーマにした壁画が描かれています。
1920年代に入ると、カジノや専門店、レストランのおかげでガルベストンは海辺の観光地として生まれ変わりました。
カジノが1950年代に閉業すると、新たなエンターテイメントが必要となったため、街に博物館や美術館が整備されました。今も営業を続けるテキサス・シーポート・ミュージアムのほか、鉄道博物館や海軍海事博物館があります。
20世紀だけでなく、21世紀に入ってからもハリケーンの被害に苦しめられたものの、ガルベストンがにぎわいを失うことはありませんでした。
ここにはゴルフコースもあるし、ウォータースライダーを備えた人工海岸、パーム・ビーチも夏季限定でオープンします。
ガルベストンの冬は穏やかですが、泳いだり海辺で遊んだりできるほど暖かくはありません。夏は湿気が高く、恐ろしく高温になります。
この街を訪問するベストシーズンは、観光の最盛期と閑散期の狭間にあたる、いわゆるショルダーシーズンです。特に、気温も高すぎず、恐ろしいハリケーンに遭遇する危険もない春休みがお勧めです。