チーズケーキはいつの時代もアメリカで一番人気のあるケーキ。クリームチーズ生地を冷蔵庫で冷やして固めるレア・チーズケーキと、チーズに卵などを加えて焼き上げるベイクド・チーズケーキの2種類があります。ニューヨーク・チーズケーキはベイクド・チーズケーキのひとつですが、サワークリームと牛乳を使う点が特徴です。アメリカで最もよく食べられているニューヨーク・チーズケーキには、お菓子作りでおなじみのあの有名なクリームチーズが使われています。また、土台部分も大きく異なっていて、砕いたビスケットに溶かしバターをつなぎとして加えた生地で薄い層を作ります。オリジナルレシピでは、スーパーでも簡単に手に入る、小麦粉とはちみつ、小麦胚芽から作られるグラハムクラッカーを使用していますが、ダイジェスティブビスケットや薄いビスケットで代用されることも多いです。
伝統的なケーキの代表格がチーズケーキだとすると、近代を代表するお菓子はレッド・ベルベット・ケーキ(Red velvet cake)でしょう。このケーキは近年爆発的な人気を集めており、今ではカップケーキやパンケーキ、ビスケット、アイスクリームのフレーバーなど様々な形で目にします。レッド・ベルベット・ケーキの成り立ちはよくわかっていませんが、19世紀にはすでに存在していたようで、生地にチョコレートを使用することで、まるでベルベットのようななめらかな口当たりのケーキに仕上がったことから、この名前が付けられたと言われています。ケーキの材料、具体的には砂糖やバターは、第二次世界大戦中は配給制となっていたため、いくつかの菓子店が他の材料を加えてケーキを作り始めました。例えばビーツの搾り汁を加えたところ、より見た目の良いお菓子が出来上がったのです。このレシピは全米に広まっていったのですが(上記の理由でレッド・ベルベット・ケーキは第二次世界大戦下の南部アメリカで生まれたという説もあります)、1920年代に元祖レッド・ベルベット・ケーキのレシピを開発したとされるアダムス・エクストラクト社(Adams Extract)と、1950年代にこのレシピを世に広めたニューヨークのウォルドーフ・アストリア・ホテル(Waldorf Astoria Hotel)の間でどちらがこのケーキのパイオニアかの論争が巻き起こっています。
美味しくておやつにぴったりなお菓子と言えば、ブラウニー(Brownie)です。アメリカで最も愛されているお菓子のひとつで、20世紀の初めにアメリカ人料理研究家で料理本作家のファニー・ファーマー(Fannie Farmer)によってレシピが開発されたと言われています。彼女は自身のチョコレートクッキーのレシピを、オーブンで大きな生地を焼いてから切り分けるバー状のケーキへとアレンジしました。ブラウニーという名前の由来はいたってシンプルで、このお菓子の持つ焦げ茶色からきています。そして、ブラウニーの姉妹品として、ココアやチョコレートを使用せずバニラで香りを付けたケーキ、ブロンディ(Blondie)が登場しました。
カラフルで人々を魅了するカップケーキ(Cupcake)は、たくさんの量は必要ないけれども、ちょっと息抜きに甘いものを楽しみたい、という人にぴったりのスイーツです。小ぶりなケーキの表面はアイシングに加えてバターやチーズスプレッドなどの様々な種類のクリームで覆われ、スプリンクルシュガーがトッピングされているものもよく見かけます。
カップケーキという名前は、アメリカの製菓で使用する計量単位「カップ」に由来しているようです。このケーキは、午後のお茶会やミーティングでゲストに提供するための、より食べやすいお菓子として誕生しました。簡単に持ち運べてちょっとした贅沢を味わえる、ミニサイズのカップケーキを販売する店も多くあります。
アメリカと言えば「アップルパイ」、でもアップルコブラーもおすすめ!