アメリカでは、ホームスクーリング(homeschooling)を選択する保護者が増えています。従来の学校教育に代わる学習手段である「ホームスクーリング」とは、いったいどのようなものなのでしょうか?
イタリアでは、よほど特別な必要性がない限り、正規の教育を自宅で受けることは認められていないので、私にとって親が家庭で学習を指導するホームスクーリングは斬新な就学形態でした。
ホームスクーリング(ホームエデュケーション)とは、学校での教育に代わって保護者の責任の下で子どもに教育を施す学習形式です。アメリカでは増え続けていて、現在約150万人の子どもたちが自宅で学習していると推定されています。
保護者がホームスクーリングを選択する理由としては、主に以下の4つが挙げられます。
⋅ 学校の制度に柔軟性がなく、子どもの身体的・心理的ニーズに合致していないと感じたため
⋅ 子どもが学校で不快な経験をして学校に失望したため
⋅ 学校から遠く離れた場所に住んでいて、授業に出席することが難しいため
⋅ 保護者が強い宗教的または倫理的価値観を持っていて、それに沿った教育を施したいと考えているため
アメリカではホームスクーリングが法律で認められています。というのも、保護者には子どもに教育を受けさせる義務はありますが、通学させることは義務ではないからです。
保護者に十分な知識がない教科を教える際など、親が教師の役割を完璧に果たすことが難しい時には、家庭教師の助けを借りることもできます。この点に関しては、テクノロジーがホームスクーリングで学ぶ子どもたちの大きな助けになります。オンライン形式なら家庭教師が家を訪問する必要もないし、簡潔かつわかりやすい形で授業をすることも可能です。
子どもの教育形態としてホームスクーリングを選択した友人がいるので、いくつか質問をしてみました。
―ホームスクーリングの利点とは?
なんといっても子どもと過ごす時間が増えることです。ホームスクーリングを選択するということは、親がより深く子どもの生活に関わることを意味します。子どもを美術館や博物館に連れて行ったり、一緒に文化活動に参加したりすることもできるので、学習をより豊かなものにすることができます。
学校での授業とは違い、子どもの学習ペースに合わせてプログラムを進めることも可能です。全ての子どもが同じ速さで成長するわけではないので、クラスメイトからのプレッシャーを受けることなく、最初のステップとなる概念の学習に必要なだけ時間をかけることができます。
また、様々な学習方法を試すことができる点も魅力です。学校で学ぶことだけが教育の形態ではありませんし、実践的な学習を好む子どももいます。勉強は退屈なものである必要はないし、適切な手段を使えば勉強が楽しくなります。
ホームスクーリングは、子どもがどの分野に真の興味を持っているかをより深く理解できますし、既存の枠組みに縛られることなく、それらの分野を体系的かつより長い時間をかけて学習させることもできます。もし子どもが音楽やプログラミングに抜きん出た才能を持っているなら、従来の学校教育ではまだ十分にサポートされていないこれらの分野に思う存分時間を費やすことができるのは大きなメリットです。
―入学前にホームスクーリングにするかどうかを決める必要があるのですか?
その必要はありません。ホームスクーリングは義務教育期間中のどのタイミングでも始めることができます。親の責任と献身が求められますが、満足度の高い学習方法です。
ホームスクーリングは公立学校での教育に代わる有効な選択肢ですので、アメリカの学校システムが自分の子どもに合っていないと感じた時は検討すべきです。
―ホームスクーリングを選択するにあたり、保護者に求められるスキルはありますか?
アメリカでは、子どもの教育に専念する時間と専門的なスキルを有すること、または家庭教師などの民間の教育者を頼ることができる経済的余裕があることが保護者に求められます。
- 2025.03.04
- ホームスクーリング