仕事はハードで、当直中はほとんど休みがありません。
休みになると、オースティンにある自宅に戻って何日も眠って過ごすか、テキサス周辺で小旅行を楽しみます。もっと遠くまで足を延ばせたらいいのですが、緊急時に備えて近場に留まる必要があるため叶いません。
とは言っても、テキサスにも魅力的な場所がたくさんあります。ダラスやヒューストン、オースティンのような活気ある街では芸術や文化、現代的なお楽しみに困ることはありません。なかでも、多様性と自由な精神に関してはオースティンが際立っていて、その独特の文化から「テキサス・ヒル・カントリー（Texas Hill Country、テキサス中央部に広がる丘陵地帯）の孤島」とも呼ばれています。
また、テキサス州はちょっと変わった観光スポットがあることでも知られています。アマリロ（Amarillo）のキャデラック・ランチ（Cadillac Ranch）に加え、テキサス州のパリ（Paris）にあるエッフェル塔（Eiffel Tower）には、この地を象徴するカウボーイハットが載せられているなど、まさに退屈する暇なんてありません。
テキサスを初めて訪れる人にとっては、どこへ行くかを決めるのは容易ではないでしょう。非常に広大な上に見どころが満載だからです。特に私のように、あまり時間的余裕がない人にとってはなおさら困難です。
まもなく春がやってきますが、毎年春になると州全土で野の花が咲き誇り、道端や牧草地、草原を鮮やかに彩ります。美しい花の眺めを楽しむのにお勧めの方法は、渓谷やなだらかな丘陵地帯、内陸部を走る道をドライブすることです。
テキサスの州花、ブルーボネット（bluebonnet）は私のお気に入りです。春になるとこの青い花が至る所に咲き誇り、風景が一変します。道路は青色で縁取られ、そこでは長い角が特徴の牛、テキサスロングホーンが草を食んでいます。この美しい花は草原一面を覆い、まるで青いベルベットのように見えます。
ここ最近の2回の旅では、全く趣の異なる場所を訪れました。ひとつはアマリロと壮観のパロ・デュロ・キャニオン（Palo Duro Canyon）州立公園、もう一方はサウス・パドレ・アイランド（South Padre Island）とコーパスクリスティ（Corpus Christi）です。
アマリロの近くには、フライパンの柄のように他州にせり出していることから「テキサス・パンハンドル（Texas Panhandle、回廊地帯）」と呼ばれる地域があり、ここには全長120マイル（193キロ）に及ぶアメリカで2番目に大きな渓谷を擁するパロ・デュロ・キャニオン州立公園があります。
公園内には数頭のテキサスロングホーンが暮らしており、公園本部近くで見かけることができます。他にも、ツノトカゲや七面鳥、鹿、ボブキャット、コヨーテ、ヘビなども生息していますが、見つけるのは容易ではありません。
メキシコ湾岸の街、コーパスクリスティには保護区域に指定されているビーチや海軍博物館、海洋生物保護区があります。釣りやネイチャーツアーのほか、ウインドサーフィンやカイトボーディングなどのマリンスポーツが盛んです。現在は博物館となっている第二次世界大戦時代の空母、USSレキシントン（USS Lexington）や、静寂に包まれたサウス・テキサス・ボタニカルガーデン（South Texas Botanical Gardens）を探索した後には、一日の締めくくりに地元で獲れた魚介類の夕食を楽しむのもお忘れなく。
コーパスクリスティはテキサス州有数の海沿いの街のひとつで、湾沿いには多くの別荘が建ち並び、カモメや釣り人で賑わっています。
木製の桟橋には様々な年齢層の釣り人が集まり、それぞれが持参した椅子に腰かけて、静寂の中で忙しそうに魚を釣っています。
また、この街は最も洗練されたバケーションスポットのひとつで、それは桟橋に停泊しているヨットの大きさや海を臨む数百万ドルクラスの高級な邸宅からも明らかです。
残念ながら海はそれほどきれいではないので、ブルーオーシャンを楽しみたい人にはテキサスはお勧めしませんが、ウミガメに出会えるのが魅力のパドレ・アイランドは声を大にしてお勧めしたい場所です。
サウス・パドレ・アイランドは本当に素晴らしい場所ですが、浜辺でウミガメの赤ちゃんが卵から孵化する8月はいっそう魅力が増します。
時期が悪かったため訪問時に子亀を見ることはできなかったのですが、一生に一度は見るべき光景だと聞いているので、いつか自分の目で確かめたいと思っています。
