サロンイベントレポート

ナレッジサロン会員「実はわたし…」レポート

テーマ:
実はわたし…Samething new を探すのが面白いんです

廣瀬 茂夫 さま 株式会社日本総合研究所 理事 関西経済研究センター 所長

私は、これまでの社会人経験の中で、自分を育ててくれる上司にたくさん出会えました。特に若い頃、たまたま役員のスタッフになったことが何よりいい経験でした。
ある時、役員から「人間25歳越えたらみんな対等や。思ったことは何でも言え。something differentは無いのか」と言われたんですよ。このことがあってから、人と違うこと、新しいアイデアを探すようになりました。アイデアというものは、全く新しいものがポコっと出てくるわけじゃなくて、既存のAとBから新しいCを生み出すわけです。だから日頃何気なく見聞きするAやBを素通りするのではなくて感動しないといけない。そこから人に「なるほど」と思ってもらえるCを生み出すことをいつも考えています。

私自身は大事にしている価値観が2つあります。
一つ目は【海外と日本の違い】です。私の趣味は「能楽」です。実は日本の音楽は“湿っている”んですよ。湿度の高い日本で独自に発達した音楽は、音階をわざと崩したり、リズムをわざと均等に刻まないようにしています。三味線なんかは糸を張ってもすぐに緩むでしょう?
これは乾燥して音程が狂いにくい西洋とは違うわけです。そこで、「最初から音程を崩しちゃった。」、「ついでにリズムにも伸縮性を持たせちゃった。」こういうことを、西洋音楽をやっている人に話すと、皆面白がってくれますね。西洋音楽は完成されたものというイメージがありますが、五線譜にオタマジャクシを書いてテンポの指定を行うことで音階やリズムに縛られてもいるわけです。そこから離れることで音楽の可能性は大きく広がると思います。そういう意味で、日本の音楽は超前衛なんです。決して古臭いものではありません。
「日本の文化って何だろう?」と日頃から考え、日本の文化を学んでいると、自分の尺度がしっかりするように思います。西洋人と話す時も堂々と出来ますね。「あなた方とは違う価値観を持っていますよ」「私と交流すると面白い発見がありますよ」と言えるわけです。

二つ目は【現場で体験する】ということです。
日本には今、閉塞感が満ち溢れています。その理由は、東京の人が机上で考え、北海道から沖縄まで皆同じにやれと言っているからなんです。現場には創意工夫がたくさんあるのに右から左まで同じようにやれとなるから面白くないんです。
シンクタンクはややもすれば似た間違いをしてしまいます。東京のオフィスに籠ってばかりの人が書いた提言は何処となく浮ついた感じがします。だから私は、そうならないように、海外も含めていろんな現場に出かけるようにしています。

ちょっと視点が変わるんですが、私はかつて、がんこ寿司に出向していました。小嶋淳司会長という素晴らしい方にお使えしていたんです。何が素晴らしいかというと裸一貫で成功したこと。
実績があると誰も反論できないんです。大阪市の市政改革会議でも、「僕がやったんやから、あんたらにも出来る」と発言すると、誰も反論できなかった。改革せざるを得ないわけです。理屈なんか言わなくても説得出来てしまいます。
私にはそこまでの実績はありませんが、「行った、見た、聞いた」という、現場にいた人しか言えないことは積み上げられる。そういうことで、いろんなところに出かけるようになりました。
先般、鼓の師匠に連れられて沖縄に行ってきました。琉球王家の庭園である「識名園」で、琉球舞踊と石垣島の鼓のコラボをするといった試みでした。この鼓はおそらく薩摩地方から伝わったものでしょうが、室町時代に確立した現在の鼓よりも古式で、奏法も含めて今は石垣島にしか残っていません。ですから、これは琉球舞踊と石垣島の鼓のコラボであると同時に、琉球舞踊と中世日本音楽のコラボでもあるわけです。
その翌日、王家筋の方と歴代王家のお墓、普天満宮、波上宮(なみのうえぐう)を参拝しました。波上宮の神殿奥には海の上にせり出したところがあって、かつてはそこで琉球国王がぬかづいて西の海を拝み、国家安寧を祈ったそうです。王家末裔(おうけまつえい)の方がぬかづいておられるのを見た時には、体中に電気が走るようでしたよ。

沖縄には素晴らしい歴史と文化・伝統があります。また、それは本土との交流に強い影響を受けています。今、普天間移設問題で県と政府との亀裂が深まっていますが、まずは政府が琉球・沖縄の歴史・文化・伝統を尊重することからやり直すべきだと思います。

ナレッジサロンは、Face to Faceで人と会えて、現実味があっておもしろいから来ています。サロンとは無関係な私的勉強会にも3つぐらい所属しているんですが、勉強会でサロン会員にバッタリ会い、繋がりが深まることもあります。不思議なことに異なる2箇所で顔を合わせると腹を割って話せる仲間になるんですよ。そういう意味でナレッジサロンはとても大事な場所です。
それに、「ここに来ればなんでもわかる」という場所ができたことがありがたい。以前はあちこち飛び回らないと情報収集出来なかったのが、今はサロンで大まかな情報が得られるし、キーパーソンへのアクセスビリティも良くなりました。

ナレッジサロンは人が人を呼ぶというか、普通だったら簡単には会えない人と会える場所です。ここで知り合いになった人を通じて幅が広げられます。コンパクトにできていて非常にいいです。

ナレッジキャピタルの野村総合プロデューサーとは古い付き合いで、サロン会員になったのは野村さんが声をかけてくれたからです。 新しい施設を作る時にはパンフレットを刷りますよね。そこには大抵、外国人や女性がおしゃれに集っている絵が描いてあります。ところが施設が出来上がった時には閑散としてしまっているケースが多い。この点、サロンはまさにパンフレットに描いたようになっています。これは大成功と言って良いんじゃないでしょうか。仕掛けが良かったんですね。 サロンはこれからコラボレーションを通じて新しい事業を起こしていくステップに入ると思うんですが、これだけ期待を背負った施設は他にないと思います。ファンになってくれる人がいるのはすごいですよ。
ナレッジキャピタルが、香港とかオーストリア・リンツなど世界とつながっていることも嬉しいです。お陰様で、香港のサイエンス・テクノロジー・パークには、サロン会員の方からの紹介で昨年視察に行ってきました。こんなことはナレッジキャピタルを通じてでしか経験できないことです。ナレッジキャピタルがもっともっと輪を広げて、関西のイノベーションの核になってもらいたいですね。

サロン会員ご紹介

株式会社日本総合研究所 理事 関西経済研究センター 所長
廣瀬 茂夫 さま
http://www.jri.co.jp/
インタビュー日:2015/10/23

※ 上記内容はインタビュー日時点での情報となります。
※ 予告なく変更・削除される場合がございます。予めご了承ください。

ナレッジサロン会員「実はわたし…」レポート

開催済みのプログラム

サロンイベントレポート一覧へ戻る

PAGE TOP