サロンイベントレポート
木曜サロンレポート
- テーマ:
- ビッグデータ環境におけるオープンデータのあり方について
開催日: 2019年3月21日
○活動の主旨、目的○
データ主導社会といわれる中、さまざまな分野でデータの利活用が進められています。
また、「官民データ活用推進基本法」が施行され、政府におけるデータ利活用に関する取り組みがますます注目されています。
ビッグデータを活用するためには情報スキルもさることながら、国や自治体のデータを幅広くオープンにすることが必要不可欠となっています。
さらに、オープン化による「透明性」の確保のみならず「参加・協働」に象徴されるオープンガバメントが追及されているところです。
このような背景下、自治体視点での取り組み事例をご紹介いただきました。
ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール
木下 克己 氏
NPO法人 情報化連携推進機構(ICAIS) 副代表理事
東京貿易を経て、高槻市にてシステム開発やプロジェクト管理業務に従事するとともにFM・CATV会社設立やテレトピアなど地域情報化事業に従事。一方、統合型GIS構築やアプリ開発業務に従事しGIOに就任。以後、高槻市CIO補佐官として電子市役所の推進に従事。現在大津市CIO補佐官としてデジタルシティの構築やFreeWi-Fi事業に従事。ICAIS副代表及び総務省地域情報化アドバイザーに就任。また地理情報システム学会等の講演多数。
ナレッジドナーインタビュー
- 本日のご講演では何を一番伝えたいと思われましたか?
-
本日は、地方公共団体がビッグデータに則した施策に取り組んでいるということを理解していただきたいとの思いでお話ししました。このような場での講演は初めてでしたが、良い機会をいただいたと思います。皆さまには自治体の取り組み内容や活動をもっと知ってほしいですね。2017年に総務省によりオープンデータにおけるKPI(重要業績評価指標)が設定され、2020年までに全国の自治体でオープンデータサイクル※1を作っていくことになっています。残された期間は少ないですが、全国統一型の推奨データセット※2を使えば対応できると思います。
※1 オープンデータサイクル:政策課題を踏まえた強化分野を設定することにより、当該分野の公開を推進し、利用者が課題の気付き・解決に取り組む中で、別のデータ公開のニーズ等が生まれ、更なるオープンデータ化が進むこと。
※2 推奨データセット:地方公共団体によるオープンデータの公開とその利活用を促進するため、オープンデータに取り組み始める地方公共団体の参考となるよう公開することが推奨されるデータセットおよびフォーマット標準例をとりまとめたもの。 - 現在、力を入れて取り組まれていることは何でしょうか?
- ICAISとして力を入れているのは、「自治体クラウド」すなわち公共クラウドシステムの導入です。経費削減や住民サービスの向上のため、地方公共団体の情報システムを集約し、同じクラウド上のシステムを共同利用することを推進しています。一方、CIO(最高情報責任者)補佐官を務める大津市では、AI(人口知能)の活用に力を入れており、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)導入に向けた実証実験を行っています。RPAは、手作業でパソコンに打ち込んでいるデータ登録を自動化するシステムで、市職員の業務効率化を図るための取り組みです。また、大津市内の小中学校から報告があったいじめに関する約9千件の事案をAIがデータ分析し、教職員、がいじめ防止対策などに活用できるシステムの開発に着手しています。
※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。
木曜サロンとは
幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。
ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。