音声言語にはないコミュニケーションのノウハウ -日本国内の異文化”ろう文化”を知る- 木曜サロンレポート|サロンイベントレポート|アクティビティ|ナレッジキャピタル

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テーマ:
音声言語にはないコミュニケーションのノウハウ -日本国内の異文化”ろう文化”を知る-

開催日: 2019年9月5日

○活動の主旨、目的○
「日本手話は日本語と全く異なる言語」と聞くと驚かれる方もいるのではないでしょうか。
言語が違うとなれば、もちろんコミュニケーションの取り方やその性質までもが異なりネイティブの日本手話話者のコミュニティーは日本という国にいながら、”ろう文化”という異文化を形成してきたといえます。

近年、”聴覚障がい者が使うツール”という捉え方から、音声言語とは全く別の”言語”としての市民権を得てきた手話言語の世界について、日本手話と日本語の異文化交流の現場に立ち続けてこられた飯泉氏にお話を伺いました。

音声言語話者にはない独自のコミュニケーションのノウハウや、そこから見えてくるろう者の皆さんの感性や情報収集能力など、ろう文化へのイメージが変わる1時間でした。

ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール

飯泉 菜穂子 氏
国立民族学博物館 人類基礎理論研究部 日本財団助成手話言語学研究部門:通称みんぱく手話部門 / SiLLR

専門は手話通訳養成。
民間企業人事での機会均等推進(現在のダイバーシティ推進)
担当、フリーランスの手話通訳・手話講師、NHK手話ニュースキャスター、民間初の手話通訳養成学科学科長(世田谷福祉専門学校:2002年4月-2016年3月)を経て2016年4月よりみんぱく手話部門所属。

2012年から外部運営メンバー、客員教員として取り組んできた「国立民族学博物館学術手話通訳研修事業」を継続、拡充しながら進めている。

ナレッジドナーインタビュー

  • 「ろう文化」は異文化だと感じられた時、ご自身の価値観は変わりましたでしょうか?
  • 最初から「異文化」という言葉を意識していた訳ではありません。ろう学校で手話を教えていないという当時の環境の中で、私が大学で出会ったろうの学生たちは最初手話を身に付けておらず、大学に入ってからろう学校で習った口話だけでは足りないと感じて改めて手話を学んでいました。一方、住んでいた地域で、明治時代に手話教育が禁じられる以前に手話を学んだ方々とたまたま知り合いました。そのため、大学では「後から手話を学んだ同級生」と、地域では「手話だけの教育を受けた明治生まれの方々」と同時に交流する機会に恵まれました。どちらの方々も、ろうであるかどうかに関係なく、とても素敵で魅力的でした。後から考えてみると、それが「異文化」に初めて気づいた時で、大きなカルチャーショックだったと思います。私は手話をポジティブに捉えていましたが、手話への偏見や聞こえないことに対するネガティブな評価が周りにあることにも改めて気づかされました。10代のこのような体験が、その後の自分の価値観に大きな影響を与えたと思います。
  • 手話通訳の養成に携わられていますが、どのような方が受講されているのでしょうか?
  • 日本の手話通訳の教育は、海外とは異なり、大学以上の高等教育機関では行われておらず、現在は「国立障害者リハビリテーションセンター学院」でのみ実施されています。手話言語を学び、その上で適性がある人が選ばれて通訳になるというシステムが日本にはありません。実際には、福祉の予算で2年間の手話奉仕員の講座を提供し、主婦、学生、社会人などを対象に、視覚障がい者への理解深め、手話コミュニケーション技術を身に付ける人を広く浅く育成しています。その後に、手話通訳を養成する講習が付属しているという形です。そのため、最初からプロの手話通訳を目指す人は少ないですね。手話通訳のみで生計を立てるのは難しく、職業としてあまり認識されていないのが現状です。みんぱくでは専門領域の手話通訳を増やす取り組みを進めています。

※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。

木曜サロンとは

幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。

ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。

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