サロンイベントレポート
木曜サロンレポート
- テーマ:
- オープンイノベーションに向けた試行錯誤と蓄積されたノウハウ -大阪ガス10年の取り組み-
開催日: 2019年9月19日
○活動の主旨、目的○
およそ10年前、日本でイノベーションという言葉が「新しいビジネスモデルの開拓なども含む一般的な概念」と定義された時期からイノベーション創出を目指し活動してきた大阪ガスでは、これまでどのような試行錯誤がなされてきたのでしょうか。
そこには一朝一夕では得ることのできない、人と人をつなぐことによるイノベーションを目指してきた現場の尽力を見ることができます。
これまでの堅実な取り組みをより実りあるものにするためにオープンイノベーション室が求める連携・協力とは何か、またかつては研究・開発段階での連携が多かった状況から、徐々に完成した製品や技術の用途展開での連携が求められる今、大阪ガスが求めている具体的なコラボレーションパートナーについてもご紹介いただきました。
ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール
樋口 裕思 氏
大阪ガス株式会社 技術戦略部オープンイノベーション室
1991年大阪大学大学院理学研究科修士課程修了後大阪ガスに入社、研究所に配属。
ガス用ポリエチレンパイプの評価研究に従事。その間、社会人博士課程を経て学術博士に。
その後、日本ガス協会に出向しプロジェクトマネジャーを経験。
帰社後、社内でシニアリサーチャーの称号を得る(高分子評価)。
2016年にオープンイノベーション室に配属され、現在に至る。
ナレッジドナーインタビュー
- 企業と企業をつなぐイノベーション創出に長年取り組んで来られて、どんなご苦労がありましたでしょうか。
- シーズを紹介する側の企業には、シーズを受け入れる側の企業のメリットも考慮したうえで提案していただくことの重要性をお伝えしています。そのため、我々ニーズを出す側の企業は、ニーズの内容を正確に表現することで、ニーズを受け入れる側の企業に正しく理解していただくことに重要性を置いています。ニーズにマッチしない技術の提案に対しては、お断りの返事をすることになるので、双方の利害関係をよく見極めた上でマッチングをしなければ、お互いが不幸になってしまうので難しいですね。マッチングがうまくいき担当者同士で企画が進んでも、我々オープンイノベーション室には進捗情報が全く入ってこないことがあります。両者を引き合わせた我々のことは忘れ去られてしまい、当事者同士で話を進めているからです。我々はどこまでを知るべきなのか、何をもってオープンイノベーション室の成果といえるのか、常々悩んでいます。
- 今後の目標を教えてください。
- これまでは「技術」のマッチングが中心でした。しかし、今は「サービス」が対象になってきています。そしてその先にあるのは、技術やサービスを包括した「文化」だと思います。人と人とのつながりや、地域と地域のつながりを通して、お互いの文化の融合というものがマッチングのベースになってくるはずです。その先にあるのは、二酸化炭素の排出問題などの社会課題の解決になります。もはや自社のメリットだけを考えてオープンイノベーションをしているだけでなく、その先にあるSDGsの課題解決を見越したオープンイノベーションを実施する時代です。我々オープンイノベーション室はこうした社会の要求に即した対応を目指しています。
※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。
木曜サロンとは
幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。
ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。