サロンイベントレポート

木曜サロンレポート

テーマ:
進化するスタジアム -都市化するスポーツ環境が生む共創社会-

開催日: 2019年10月17日

○活動の主旨、目的○
2000年以上ある建築の歴史の中で、19世紀後半に発掘されたことで再発見されたスタジアムは、歴史的に未成熟なビルディングモデルであり現在進行形で進歩しています。
東京2020オリンピック・パラリンピックを契機に、これまでになくスポーツに注目が集まるなか、スタジアムを取りまく観客・選手・スポーツクラブ運営者など様々な視点から、「Mazda Zoom-Zoom スタジアム広島」などの設計を手掛けてこられた上林氏にお話を伺いました。

オリンピック、パラリンピックやその先の未来に向けて、VRやAR、音響やセンシングなど最先端の技術を結集し、日本中を巻き込むような、新たな機能や価値をもった未来のスタジアム・アリーナ像について語って頂きました。

ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール

上林 功 氏
追手門学院大学 社会学部 社会学科 准教授

1978年11月生まれ。追手門学院大学社会学部スポーツ文化コース准教授。
修士(工学)、博士(スポーツ科学)Ph.D.
建築家の仙田満に師事、「広島市民球場(Mazda Zoom-Zoom スタジアム広島)」を担当。
2014年に株式会社スポーツファシリティ研究所設立。2018年4月から現職。
主な研究内容は「スポーツ消費者行動とスタジアム観客席の構造」など。
日本政策投資銀行スマートベニュー研究会委員、スポーツ庁スタジアム・アリーナ ガイドライン策定WG。

ナレッジドナーインタビュー

  • 山口情報芸術センターで始まったプロジェクト『未来の運動会』をご紹介いただきましたが、大阪など、開催する地域によって違いは出るのでしょうか?
  • 紹介した「未来の運動会」は、運動会競技そのものを参加者自身がつくる運動会ですので、開催場所によってかなりの違いが出ています。昨年開催した『未来の大阪の運動会』では、大阪ならではの様々な面白い競技が生まれました。その中でも特に面白いと感じたのは、『エア綱引き』です。綱引きをしている人たちの中から、1人だけ綱を引いているフリをしている人を見つけるというものです。「誰だろう?」と相手ばかりを見ていると綱を引けず、むしろ真剣に引けば引くほど本当に引いていない人が見つけやすくなります。そして、綱引きに勝った方が先に回答権を得ます。両者のせめぎ合いが非常に面白く、周りで見ている人も楽しめる競技です。このような笑いが絶えない競技は、大阪だからこそ生まれたのではないかと思います。
  • スタジアムの価値は皆で観戦して体験を共有することとのお話でしたが、SNSで体験を共有する現代文化の影響はあるのでしょうか?
  • TwitterやLINEのようなSNSは、プラットフォームを提供するもので、参加者自身がコンテンツを創り出し、それを他の参加者が楽しむという、まさに共創の仕組みです。そして、スポーツも共創の仕組みと親和性が高いのです。野球やサッカーというコンテンツはきっかけで、それをどう応援してその場所を楽しむかという場作りは、そこに参加する人自身に委ねられています。SNSを活用できる層をいかにスポーツに繋げていくかが、今後のスポーツ界の課題だと言われています。物心ついた頃からインターネットに繋がっている若者たちにとっては、もはや「共有する」ということが当たり前になっており、ごく自然に共創の中で生きていると言えます。今後、一方的にコンテンツを受け取るだけのスタジアムは、おそらく廃れていくのではないでしょうか。

※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。

木曜サロンとは

幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。

ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。

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