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テーマ:
国際条約交渉のダイナミズム -Minamata条約の採択までの舞台裏-

開催日: 2019年12月12日

○活動の主旨、目的○
世界で最初の水銀被害となった日本の水俣病。
水銀被害は、もはや過去のことと思われている方も多いのではないでしょうか。
しかし、世界では今日でも、経済的な有用性から水銀は使用され続けており、水銀の危険にさらされている人々が存在します。

水俣病の教訓を日本のみならず世界中が活かすことができるよう、名称に“Minamata”を取り入れた条約「The Minamata Convention on Mercury / 水銀に関する水俣条約」が採択されました。

有害な化学物質である水銀の使用や排出を管理するため、政治、経済状況などが全く異なる先進国や途上国の間で、国際環境条約として「水銀に関する水俣条約」が2013年に採択され、現在では114カ国が加盟国となっています。

様々な利害を計る国々の間で意見を調整し、合意を形成することは、極めて難しいのが現実です。
それでは、水俣条約の合意形成の鍵は何だったのでしょうか。

木曜サロンでは、水俣条約の交渉の舞台裏について、国際環境ガバナンスの研究者である宇治氏にお話いただきました。
そこには、過去に締結した環境条約における教訓と、巧みな交渉戦略があったとのこと。
国と同じく、様々な利害を持つ組織・個人間での合意形成にもヒントがあるかもしれません。

ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール

宇治 梓紗 氏
京都大学大学院法学研究科 講師

2012年京都大学法学部卒業。
2014年京都大学大学院法学研究科法政理論専攻修士課程修了。
2018年京都大学大学院法学研究科法政理論専攻博士後期課程修了。
京都大学大学院法学研究科助教を経て、現職。
その間、ハーバード大学大学院(Graduate School of Government)、スイス連邦工科大学チューリッヒ校(Center for Comparative and International Studies)にて在外研究。
現在、京都大学大学院法学研究科講師。博士(法学)。
専門は国際政治経済学、グローバルガバナンス。

ナレッジドナーインタビュー

  • 水俣条約が締結されてから実際に水銀被害を防ぐための国際的行動が開始されるまで、どのような動きがあったのでしょうか?
  • 実は、2017年に水銀に関する水俣条約締結前、条約が合意された2013年時点から、既にさまざまな取り組みが始まっていました。まず、途上国が条約に批准しやすくなるプロジェクトを立ち上げました。途上国は、これまで自国の水銀排出量をモニタリングしたこともなく、条約に批准すればどれ程の負担を負わなければならないのかさえ分からなかったという状況でした。
    そこで、大気、水、土壌を計測し、自国の水銀排出量をしっかりと把握することから始めました。この取り組みが、途上国が水俣条約に批准する大きなきっかけとなったと言われています。2017年に締結された後も、水銀汚染の元凶とされる金の採掘場「小規模金採掘」に対する幾つものプロジェクトが実行されていますが、実際に水銀がどのくらい減ったかという具体的な数値が分かるにはもう少し時間がかかると思います。途上国の地元民に水銀被害の深刻さについてきちんと情報共有し、先進国から技術移転するための体制は整えられてきています。
  • 水銀が経済を支えている途上国での国際機関の取り組みや地元民の反応はどのようなものでしょうか?
  • フィリピンとタイでは、資金調達を行う国際機関、民間企業から技術を移転する国際機関、そして現地の労働基準を整える国際機関が連携してプロジェクトを実施しています。 小規模金採掘において水銀被害が起こる一つの要因として、労働基準の甘さが指摘されています。
    子どもや女性を危険な労働に従事させており、資金や技術面のサポートだけでなく、労働条件も改善しなければならないのです。今のところ国際機関が自国に介入することに対して、途上国からの反発はないようです。これまで環境条約において国際機関同士が協力して何かを行うことはほとんどありませんでしたが、SDGsの影響もあって多分野を同時に解決しようという試みがなされており、水俣条約における複数の国際機関による取り組みもその一つです。

※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。

木曜サロンとは

幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。

ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。

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