サロンイベントレポート

木曜サロンレポート

テーマ:
ファッションの感性とAI -コトの先にある感性の世界観をAIでつなぐ-

開催日: 2021年1月28日

○活動の主旨、目的○
トレンドを生み出すビジネスモデルで成功してきたファッションは、世界中の人々に今まで見たことがない世界観の美しさを形にし、春夏と秋冬のコレクションとして年に2回の提案をしてきました。ファッションが大好きな人は、どんなモノが発表されるのか、どのような美意識の世界観をコレクションで見せてくれるのかを心待ちにしています。しかし、ファッション業界もコロナ禍によって大きく改革を求められています。
そこで、消費者が好きになったモノが「大好き」になり、「めっちゃ大好き」になっていくプロセスや、本当に大切なこととは何かを中心に、コトの先にある感性の世界観とAIをつなぐ仕組みについてお話しいただきました。

ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール

鶴 鉄雄 氏
学校法人上田学園 上田安子服飾専門学校 講師

上田安子服飾専門学校(専任)で情報デザイン、PHPなどのプログラミング言語やデータサイエンスを教える傍ら、大阪市立大学都市情報学修士課程を修了。 現在は兵庫県立大学にて感性とAI(深層ニューラルネット)の研究を行う。
今後は現在の研究を実社会で貢献できることを目指している。

ナレッジドナーインタビュー

  • 人の感性を読み解く研究をどのように展開しようとお考えですか。
  • 目に見える「好きなモノやコト」の記憶が氷山の一角であるとすれば、自分が気づいていない隠れた氷山の下にある「好きなモノやコト」の感性を探り当てるのが「人の感性を読み解く研究」だと考えています。私の研究はこの感性を客観的なデザイン要素として定量的にとらえる試みです。人にはその人の感性に触れるような「好きなデザイン」があると思います。デザインの要素は形・色・素材で、ファッションでは形の要素がシルエットとディテールに分かれています。ファッションは「トレンドが変わると、シルエットが変わる」と言われています。そこでシルエットに着目し、定量的に扱えるように、新しく創造されるシルエットにも対応できる分類と可視化のシステムを構築し、分類の自動化を目指すための第一段階としてAIを活用したシルエット識別の実験と研究を行ってきました。今後は実用化に向けてさらに信頼性を高め、将来的には、素材や色にも対応できるファッション感性システムの機能拡大を目指したいと思っています。
  • 研究者としてファッションに対する考え方をお聞かせください。
  • ファッションの世界はとても興味深く、魅力的です。現状では、次のファッショントレンドを左右する世界中のトレンド情報が、Webを経由して時を経ずに伝わってきます。これらの情報をもとにファションに敏感な消費者に向けた商品化が行われています。情報の発信源は一流のデザイナーが創り出すアートな感覚でワクワクする、物語性のあるコレクションの世界観です。私は、常々ファッションショーで普通に着ることができない服がなぜ出てくるのか…と不思議に思っていました。しかしある時、それは私がファッションと衣服の概念を混同していたのだと気がつきました。デザイナーにあこがれる消費者の「共感」は市場のトレンドと強く結びついていると思います。市場のトレンドが「共感」によって成り立っていると仮定すると、デザイナーの世界観とファッションが大好きな人の「共感」を定量化して、高い精度での解析が出来ると、市場のトレンドをリードする商品化計画は今よりも、たやすくなると考えています。

※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。

木曜サロンとは

幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。

ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。

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