サロンイベントレポート

木曜サロンレポート

テーマ:
害虫駆除業界における新しいビジネスモデルで変革を起こす、マルチキャリア社長の経営戦略

開催日: 2021年2月4日

○活動の主旨、目的○
害虫駆除業界は身近なサービスでありながら、その業界事情や最新のトレンドなどについてあまり知られていません。市場的には、食品工場や飲食店などの害虫を駆除する衛生関連市場と、住宅に被害を及ぼす白蟻を駆除する住宅関連市場に分かれています。
清潔なイメージの日本ですが、実は衛生関連市場における害虫に関する規制や資格制度などが大変遅れているとのこと。住宅関連市場においても、住宅を長期に渡って管理し、修繕などを計画的に行う仕組みが普及していません。
そんな業界にあって、創業50年の環境機器株式会社は、業務用防虫資材を扱う商社で、2代目経営者である片山氏は、斬新な経営戦略を武器に、防虫A Iを開発するなど、社長就任以来20年間増収増益を実現して来られています。直接の顧客である施工業者と、殺虫剤メーカー、ハウスメーカー、不動産会社、一般消費者などの間に立ち、開発型商社として新しいビジネスモデルを築き上げられてきた戦略についてお伺いしました。

ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール

片山 淳一郎 氏
環境機器株式会社 代表取締役社長

京都大学法学部卒業。外交官試験のため留年するが父の急逝で方向転換、新卒で日本興業銀行に就職(京都支店勤務)。同行退職後、アジア経済研究所開発スクール(東京)、ケンブリッジ大学経済学部大学院(イギリス)を経て、大阪に戻り零細メーカーであった家業を継ぐ。社長就任後20年間増収増益で昨年も最高益更新。また、公益財団法人 日本国際民間協力金 副理事長兼専務理事も務める。高校時代に水球で国体、インターハイに出場。

ナレッジドナーインタビュー

  • 害虫駆除業界の状況や御社の経営方針についてお聞かせください。
  • 私は大学卒業後、銀行勤務等を経てイギリスに留学し、開発途上国の開発経済学を学んだ後、大阪に戻って家業の害虫駆除の仕事を引き継ぎました。害虫駆除の仕事は一般的に給料が低く、学歴が低い人が携わることが多いため、害虫駆除業界の中では私のような経歴の持ち主は「変わり者」です。しかし、変わり者だからこそ、この業界に貢献できることがたくさんあると考えています。自身の知識や経験を活かし、新しいビジネスの仕組みを作って実績を上げ、今では業界で一番の成長率を誇る企業になりました。また、東日本大震災の時には約6000人を動員して大規模な社会貢献にも取り組みました。現地での害虫駆除活動は、被災者の方々に喜んでいただいただけでなく、スタッフにもきちんと日当を払い、当社も収益を上げることができ、皆にとって良い結果となりました。元々やりたかった社会貢献とビジネスの両立ができるようになってきたと思います。
  • 化学的処理以外の害虫駆除の方法や益虫の活用について、どのようにお考えですか。
  • 農業では害虫駆除に天敵を使うことができますが、在来種を滅ぼすなど、生態系を壊すリスクがあります。また、虫を入れることができない食品工場や都会の環境では、虫である天敵は使えません。生態系に対する影響を考えると、天敵の導入には慎重にならざるを得ないと思います。化学的な方法に頼らないためには、生態を分析して根本的な原因を断つことが重要です。薬剤を使えば簡単ですが、分析には知識が必要で時間もかかります。しかし、当社では分析をしっかりするよう社員教育をし、AIを活用したシステムの開発にも取り組んでおり、業界全体の高度化にもつながるのではないかと考えています。また、虫の専門家として、虫の駆除だけでなく虫の活用にも非常に興味があり、食用にしたり、廃棄物を分解したり、社会に良い影響をもたらす虫を開発できないかとアンテナを張っています。今後は虫を活用したベンチャーにも挑戦したいと思っています。

※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。

木曜サロンとは

幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。

ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。

開催済みのプログラム

サロンイベントレポート一覧へ戻る

PAGE TOP