サロンイベントレポート
木曜サロンレポート
- テーマ:
- 世界と直接つながる、地方自治体の国際戦略
開催日: 2021年4月1日
○活動の主旨、目的○
2010年のリーマンショック以降、インバウンド需要を取り込むべく、地域経済と世界経済を直接つなぐ地方自治体の新たな戦略が加速してきました。
特に大規模な都市よりも、中小規模の地方自治体が、これまでの行政からすると考えられない大胆な手法を用いて新しい産業創生やブランディングに向けて行動を起こしているとのこと。
そんな国内外の最新の取り組みをご紹介いただきながら、今後の地方の魅力作りと海外発信の在り方についてお伺いしました。
ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール
藤原 直樹 氏
追手門学院大学大学院 経営・経済研究科 准教授
地方自治体にて企業誘致、都市開発、国際交流と海外プロモーションの仕事に従事し、働きながら修士(都市政策)、博士(商学)の学位を取得。その後、大学に転じた。現在は、地域活性化を担う人材育成を目的とする学部で、地域政策を教えるとともに、地域資源を海外と連結することによる地域経済活性化について研究し、国内外で学会発表を行っている。
2017年より追手門学院大学 地域創造学部 地域創造学科 准教授、2018年より現職。
その他関西学院大学、大阪経済大学などで講義している。
ナレッジドナーインタビュー
- 取り組まれている活動について、どのようなやりがいを感じていらっしゃいますか。
- 公務員としての経験からも社会を変えるのは非常に難しく、世の中はそう簡単に動くものではないと認識しています。しかし、そのような状況の中で現実を少しでも変化させ、地域を変えていくことにやりがいを感じます。例えば、eスポーツで商店街を活性化するイベントを開催したり、大阪・難波でコミュニティFMの情報番組を作ったりするなど、学生と共に地域を活性化するための活動を多く行ってきました。現在も、大学のある茨木市でのフードロスに関するイベントやイオンと連携したeスポーツイベントの開催、鹿児島県徳之島の活性化、北海道ニセコ町でのコミュニティラジオの番組制作など、様々な企画を考えています。こうした取り組みによって少しでも世の中が面白くなれば、「やってきた甲斐があるな」と感じられると思います。
- 今後、活動を通じてどのような社会をめざしたいとお考えですか。
- 理想は「選択肢が多い社会」です。都会の大企業に就職して競争に打ち勝って出世していくという人生も良いですが、小さな地方都市で高収入の仕事やクリエイティブな仕事をするということも選べるとすれば、人生の選択肢が広がります。また、職場の現状に不満があっても失うものが大きいために転職できないというケースが多いですが、待遇や環境が変わらずに済むなら転職する人は増えると思います。こうして人の流れが活発になれば、人材やエネルギーが無駄に消費されるのを回避できるという利点もあります。『ブルシット・ジョブ』(デヴィッド・グレーバー著)では「価値を生み出さない仕事が世の中にたくさんある」と述べられており、そのような本質的に価値がない仕事は、人材の流動性が高まるに連れて淘汰されていくのではないでしょうか。いずれにしても、変わることに関して失うものが少ない社会が良いですよね。自分の生き方を選ぶことができ、変化がスムーズに受け入れられる社会になってほしいと思います。
※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。
木曜サロンとは
幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。
ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。