サロンイベントレポート
木曜サロンレポート
- テーマ:
- 第8回ナレッジイノベーションアワード受賞シリーズ第2弾 「未利用農産物の新しい食物連鎖を作る」
開催日: 2021年5月6日
○活動の主旨、目的○
「農業はかっこいい!」を実現すべく奮闘する林氏。単なる生産地と生産物のコーディネートだけでなく、加工会社と納品先までトータルでつなぐコネクションを活かし、強い農業の実現を目指されています。
農業の世界ではこれまでサイズや傷、あるいは流通上の問題で廃棄される、いわゆる“フードロス”と言われる未利用の農産物が大量に存在します。そのような未利用の農作物を粉末にするなどの様々な加工を施すことで、食品メーカーはもちろんのこと、化粧品メーカーや、お香のメーカーなど食以外の分野にも供給することを可能したプロジェクトについて伺いました。
もったいない精神を受け継ぐ日本で、“粉末野菜を使った大阪の新たな粉もん文化の創造”など、様々な取り組みによって社会課題であるフードロス撲滅を実現する“アグリ×フード×ヘルスケア”の取り組みをご紹介いただきました!
ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール
林 直樹 氏
株式会社エーエスピー 代表取締役社長
理研ビタミン㈱でノンオイルドレッシングの商品開発に従事後、経済産業省や自治体のビジネスマッチングやオープンイノベーション事業など15年以上産業振興に携わる。10年前よりサービスロボットやインバウンドなど企業と連携したプラットフォーム型プロジェクトを進めてきた。8年前から始めた全国のこだわった農家の販路開拓支援がきっかけで、農作物の安定供給のプラットフォームを企画し、Challenge Iot Award2017での受賞を機に㈱エーエスピーを設立。設立後も多数受賞。
ナレッジドナーインタビュー
- 未利用の農産物の活用方法は、どのように着想を得ていらっしゃいますか。
- 以前に勤めていた食品メーカーで、粉末やカットしたものなど、様々な原料を開発していましたので、農産物の活用に関する知識は元々持っていました。農産物はそのままの形で使うことも充分可能ですが、保存性の観点から冷凍・冷蔵保存をするとなると、どうしても物流などのコストが上がってしまい、海外で大量生産する方が安くなります。国内の農産物の方が品質は良いのですが、高すぎると敬遠されますので、使いやすい適正価格で原料を作るためにトータルコストをどのようにして抑えるかが課題でした。そこで、保存と配送コストの面から粉末やオイルにフォーカスを当てて未利用の農産物を活用しようと考えました。
- 今後の課題と目標をお教えください。
- 近年、農業人口の減少が懸念されています。その対策として、一般の方がいきなり生産者や農家になるのはハードルが高いので、なるべく段階を踏んで農業に関心を持ってもらえるような仕掛け作りに取り組み始めています。昨年のナレッジイノベーションアワードで準グランプリをいただいた「農作業を通じた健康増進サービス『フィットネス農場』」も、その取り組みのひとつです。現在、現役の農家の方は65歳以上が圧倒的に多いため、悠長に構えていては農業人口がどんどん減っていきます。同時に高齢の農業家が長年培ってきた経験も失われていくことになりますので、その貴重な経験を残していく仕組みを作っていくことが最大の課題だと考えています。栽培技術の継承は、ベンチャー企業が取り組むテーマとしてはコストがかかる割にベンチャーキャピタルなどに評価されにくい分野のため、推進が難しい面もありますが、課題解決に向けて注力していきたいと思っています。
※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。
木曜サロンとは
幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。
ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。