サロンイベントレポート
木曜サロンレポート
- テーマ:
- 新しい価値を生む方法論としてのForesight Creation
開催日: 2021年9月30日
○活動の主旨、目的○
今、新しい価値(=イノベーション)が必要とされています。
しかし、「どのようにすれば、何を大事にして活動すれば、新しい価値が生まれるのか」はまだ研究途中です。
そんな中、デザイン思考などの言葉が注目を集めていますが、デザイン思考も理論化された方法論とはなっておらず、まだまだ「勘と経験の世界」の色合いが強いです。
そこで、「新しい価値を生むために取るべきプロセス」と「そのプロセスを実行するために必要なコンピテンシー」を整理したのがForesight Creationという方法論です。デザイン思考や行動観察、クリエイティブシンキングなどを統合することで生み出され、大学や企業などで成果を上げ続けています。
今回は、この方法論のエッセンスを説明いただき、「どのように」「何を大事に」すれば新しい価値が生まれるのかについてお話いただきました。
ナレッジドナー(知の提供者)プロフィール
松波 晴人 氏
大阪大学 共創機構 特任教授(常勤)、博士(工学)
1992年に大阪ガス株式会社入社。米国コーネル大学大学院にて修士号(Master of Science)取得の後、和歌山大学にて博士号(工学)を取得。2005年、行動観察ビジネスを開始。2009年に大阪ガス行動観察研究所を設立。メーカーやサービス業など企業と「新価値創造」に取り組んだ数は膨大。2020年に大阪ガスを退職し、大阪大学に移籍。
ナレッジドナーインタビュー
- 最近の企業のイノベーションへの取り組みで画期的だと感じられた例はありますでしょうか。
- 講演でもお話しした「出島的プラットフォーム」の方法を取り入れてみようという企業が出てきました。これは、社内の新規事業を社外の全く新しいチームで進めていく取り組みです。この方法によって、社内で意思決定できないという組織的な問題は、かなり解決するのではないかと考えています。ひとつ成功例が出れば、他の企業も真似をし始めると思いますので、最初の成功例を早く作りたいと考えています。また、イノベーションを促進するためには、真面目になり過ぎず、フレキシブルに対応することが大切です。「〜してはいけない」というルールを多く作るとイノベーティブではなくなってしまいますので、ナレッジサロンでも会員が自由に動けて、新しい発想が生まれやすい「場づくり」をされると良いと思います。
- イノベーションを起こすために日頃から心がけておく習慣や行動があればお教えください。
- 先ず、すべきことは“観察”です。具体的には“気づき”をたくさん挙げる練習をしていただきたいと思います。例えば、レストランに行って気づいたことを書いてくださいと言われると、10個程度はすぐに書けるのですが、そこから先がなかなか出てこないのです。そこで、100個くらいの大きな数を目標にすると、観測点を切り替えて新しい発見をしようとしますので、発想の転換の練習になります。また、メモを取る際には“事実”と“解釈”を必ず分けて書くことが重要です。例えば、「女の子が喫茶店に行こうと誘ってきたら彼女は自分に気がある」とすると、「誘ってきた」のは事実ですが、「気がある」かどうかは分からない。つまり、事実ではなく解釈ですよね。人は希望も含めて事実と解釈を混同してしまいがちですので、この2つをきっちり分けて書くようにしてください。この方法はイノベーションを生み出すための良いトレーニングになると思います。
※木曜サロンレポートはナレッジサロン会員さまを対象としたイベントのレポートです。
木曜サロンとは
幅広い「知」に出会える、気付けるちょっと知的な夜、展開中。
ナレッジサロン会員様を対象に、毎週木曜日の夜に開催。幅広い業種業界から「ナレッジドナー(知の提供者)」としてゲストスピーカーを招き、専門知識や経験、取り組んでいるプロジェクトや生活の知恵まで幅広い「知」を提供。参加者同士の交流や会話を尊重し、自由で気楽な会話を中心としたカジュアルなサロンです。